誰かに聞いた怖い話
・・・回る足音4
.
その夜、僕はいつもより早く眠りにつきました…

テントの中には湖から吹き付ける風によって、湖岸に繰り返し打ち寄せる小さな波の音だけが響いていました…

その音は…まるで凪の海の穏やかな波の音の様でした

僕はその音を子守唄代わりに聴きながら、いつしか深い眠りについていたのです…





『…?』

僕は何人かの…いえ、もっと沢山の人の話し声で目が覚めたのです…



ガヤガヤガヤ…

僕は随分と遅くに来た人達だなと思いました

このキャンプ場の近くには、有名な登山の出来る山があるにはあるのですが…

でも…僕には彼等が何を喋っているのか、全然わかりませんでした



ガヤガヤガヤ…ザッザッザッ…

その内その話し声が近付いて来たと思うと、僕のテントの周りを幾人かの気配が取り囲んだのでした

それと同時に、先程迄うるさいくらいに聞こえていた話し声が、ピタッと止んだのです…



次の瞬間でした

四方からテントが揺さぶられたのです…

僕に出来た事はテントの真ん中に座り…ただ目を瞑っているだけでした…

やがて彼等はテントを揺するのを止めると、テントの周りを隙を窺うかの様に、グルグルと回りはじめたのでした

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あきゅろす。
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