誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(伍)13
.
静まりかえる闇の中には、燃え盛る炎のつくりだした、薪のはぜる音しかしなかった…
『…これが僕の体験した話だよ』
『僕が携帯を捨てた場所からは、そんなに離れていない所だったみたいだよ…』
『僕はその事件が報道されてから、いつ警察が来て携帯の事を聞かれるか、びくびくしていたんだよ…でも…』
『…でも、僕の所には警察は来なかったんだ』
『何故来なかったんだ、遺体の近くにあったんなら重要な物件だろ?』
サーファーの彼が、そう尋ねた…
『自首して来たんだよ…犯人が』
『何で?別件か参考人で取り調べか?』
『いや、毎晩電話がかかって来たんだそうだ、番号表示のない電話から…』
『非通知拒否にしても…電池を外しても…線を抜いた固定の電話にすら…』
『…』
『!』
『それは…』
『どんな奴だったんだ?』
『隣のビルにある会社に勤めている、ごく普通のサラリーマンだったそうだよ』
『それから僕の捨てた携帯は、その近くには無かったみたいなんだよ…何故かはよくわからないんだけど…』
パチン!
赤々と燃え盛る炎の中から、闇に向かって火の粉が舞い上がってゆく…
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!