誰かに聞いた怖い話
キャンプ場の夜
.
………辺りを相変わらず焚き火の炎が照らし出している…

ゆらゆら、ゆらゆら……と…





『俺の話しはこれだけだ……』

彼はそう言うと缶ビールを、又一口、喉に流し込む…

だがその表情は相変わらず冴えないのだ……

『俺さぁ…心配なんだよ!…弟の事が…』

『今日此処に来る迄の道を覚えているか?』

『山道で狭いし、くねくねと曲がっていたからさ…もし居眠り運転なんかしたらさ、たちまち崖の下に落ちるだろ!』



『そうか!今夜か明日の朝には彼1人で来るんだよな…』

『さっきの居眠り運転の話の事か?』

友人達の問い掛けに彼は頷くばかりだった………



……んっ?

そう言えば…私はこのキャンプ場に来るまでの道を覚えていないや…皆に聞くと又、居眠りしてたと怒られるので聞くのは止めておこう…

私が頭の中でそんな事を考えていると友人の一人が、話し掛けて来た…



『そう言えばさぁ……ここだよな?』



『んっ、何が?』



『だから…あれだよ…』



そんな言葉のやり取りに、いつしか皆の関心は私達に向けられていたのだった…

それと共に友人と友人の弟の話は、頭の片隅に追いやられる事になる…

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