誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り15
.
その日、検死を行っていたのは彼1人であった…

規則がどうなっているのかは別として、実際問題地方の小さな病院では、人手不足の為1人で検死を行う事は珍しく無い時代だった…

それに今回は、仏様が2人もいたのだから、夜になってしまっても仕方なかった…





1人目の検死は何事も無く終わった…

彼女は間違いなく肺や胃に大量の水を飲み、可哀想にそれが元で溺死したのだ…

彼は一息つくと、2人目の検死に取り掛かった…





『ひっ、ひぃやぁ〜』

彼は言葉にならない悲鳴をあげると、床に尻餅をついたのだ…

…彼は蛇が死ぬ程、嫌いだった…

その蛇は既に…死んでいた…





彼は彼女の右の肺と胃に、大きなしこりのような塊を見つけて、右の肺に慎重にメスを入れた…そうして…その手に死ぬ程嫌いなモノを掴んでしまった…

こんな事を誰が予想出来ただろうか…

結局彼は…その夜、3匹の蝮を取り出す事になる…





けれども死因は、蝮の毒によるものでは無かった…





彼は身内と、村にこれ以上の騒ぎを起こす事を恐れて…人知れず人目に触れぬように処分をし…自分の心の奥底にしまい込んで晩年になる迄喋らなかった…

[前頁へ][次頁へ]

44/97ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!