誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り15
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その日、検死を行っていたのは彼1人であった…
規則がどうなっているのかは別として、実際問題地方の小さな病院では、人手不足の為1人で検死を行う事は珍しく無い時代だった…
それに今回は、仏様が2人もいたのだから、夜になってしまっても仕方なかった…
1人目の検死は何事も無く終わった…
彼女は間違いなく肺や胃に大量の水を飲み、可哀想にそれが元で溺死したのだ…
彼は一息つくと、2人目の検死に取り掛かった…
『ひっ、ひぃやぁ〜』
彼は言葉にならない悲鳴をあげると、床に尻餅をついたのだ…
…彼は蛇が死ぬ程、嫌いだった…
その蛇は既に…死んでいた…
彼は彼女の右の肺と胃に、大きなしこりのような塊を見つけて、右の肺に慎重にメスを入れた…そうして…その手に死ぬ程嫌いなモノを掴んでしまった…
こんな事を誰が予想出来ただろうか…
結局彼は…その夜、3匹の蝮を取り出す事になる…
けれども死因は、蝮の毒によるものでは無かった…
彼は身内と、村にこれ以上の騒ぎを起こす事を恐れて…人知れず人目に触れぬように処分をし…自分の心の奥底にしまい込んで晩年になる迄喋らなかった…
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