誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り11
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その釣り人は焦っていた…
彼に変わって次にルアーを投げた連れが、およそ50p近い岩魚を釣り上げていたからだった…
釣り自慢をするのが楽しみである彼としては、絶対に負けられない勝負だったのだ
さすがに村人達が立ち入らない場所だけの事はあった…
ヒューン……ポチャン……
釣り人はより大物を狙って、さっきよりも水底深くルアーを沈める為に時間をゆっくりとかけた…
カリカリカリカリ…
ルアーを充分に沈ませた後、釣り人はゆっくりと岩魚を誘った…
グン…
あたりだと思って合わせをくれた彼だったが…どうやら根掛かりをしてしまったらしい
大物狙いの為に、底付近を狙ったのが仇となり、倒木か岩に引っ掛かったようだった…
『おぉ〜、鯨か?それとも地球を釣ったのか?』
そんな連れの冗談に、釣り人は我を忘れて糸を引っ張った…
するとゆっくりだが、糸が巻き取れたのだ…
舶来品の為ルアーの値段も馬鹿にならない
彼は慎重にゆっくりゆっくり糸を巻いていった
既に彼の連れが倒木からルアーを外す為に、岩壁を慎重に降りて待っている
釣り人の位置からは死角になり、あがって来る倒木は見えなかった…
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