誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り10
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その釣り人の握っていた道具は、今ではすっかりバス釣りに使う事で有名になっている、ルアーフィッシング用のロッド(竿)だった…勿論バス釣り用とは違って細身の繊細な造りではあるが…

当時はまだ舶来品と呼ばれ高価な上に、インテリと呼ばれる人達にしか馴染みが無かった為に、この村人達の中でも幾人が見たことがあるのだろうか…?

この当時はルアー釣りを知らない人に金属片を見せても、それに魚が喰いつくなどとは信じず…自分をからかっていると怒り出す時代であった

…だが、そんな舶来品の洒落た道具で…今迄見たことが無いモノを自分がこれから釣り上げる事になるとは、この時…この釣り人はこれっぽっちも思っていなかった…



『じゃあ、一発やってみるぜ』

ヒューン……ポチャン…カリカリカリ…

辺りに響く人工音は、リールを巻く音だけだった…



『来たっ!』

男が突然歓声をあげる

釣り上げてみると、それは森の獣…とも呼ばれる岩魚だった…大きさは尺上(30pを越える)のまずまずの型だったが、釣り人には不満だった…

どう見ても人の入っていないここならば、その倍の大きさの主が居るに違いなかった…



そしてその時が来る…

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あきゅろす。
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