誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り7
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『どうやら車の調子が悪くて、歩いてここに来る途中で、前から来る車に乗せて貰おうと車の前に出たようですね』

『…でも、まさか自分の会社の若い衆に轢かれるとは…』

『…一応、ご報告をと思いまして…』



『うん、ご苦労だったな』

『即死か…まさか…な…』

男は挨拶をして帰っていく村の駐在の事も忘れて、考え事をしていた…

彼の考え事とは、死んだ自分の右腕の建築会社の社長の事では無かった…

彼の頭の中には、死んで役に立たなくなったモノの事などを入れて置く余地など無かった…

彼はそういう男だったのだ…

今、彼の頭の中を占めているのは、産まれたばかりの我が子の事と、後の仕事を誰に任せたら良いか…その事だけだった…



この時はこの社長の死を、御神木と蝮の祟りだと考えた者はまだ誰もいなかった…





次に死んだのは、御神木を伐った時に指揮をしていた、あの現場監督だった…

彼の死に様は壮絶なものだったらしい…

彼は社長が死んだ後…大分ふさぎ込んでいたが、ある朝、自宅から軍刀を持ち出すと、会社が始まってすぐに何やら奇声を発しながら、日本刀を振り回し3人を傷つけた挙げ句に、割腹して果てたそうです…

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