誰かに聞いた怖い話
・・・ふたつの祟り2
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『何であの木を伐ろうとした時、辺りを見回したんです?それにあの後…車が潰された時に言ったこれが祟りかって…何の事なんで?』
『聞いていたのか…』
男は少し考えていたようですが、その理由を教えてくれました
『まあ、ええやろ…実はな、あの木を伐ろうと斧を振り上げた瞬間、しわがれた男の声が聞こえて来たんじゃ』
『だ、旦那…それでその声は何と?』
『それがな…伐られる代わりに…お前の一番大事なもんを寄越せ…と言ったんじゃ』
『旦那…それで旦那は何と答えたんで…』
『最初は誰かの悪戯か空耳だと思ったから、好きなのを持ってったらえぇじゃろって…呟いとった』
『おかしいやろ…空耳に返事するなんてな…でも、あの時はちっとも変だと思わんかった…』
『その後、直ぐに車を持って行かれたんやけど…あの車はドイツ製で、家が一軒買える程したんや』
『そうですか…それで御神木の祟りだったと…』
『でも、あの後の事も驚きました…御神木の切り株の空洞の中に、あんなに沢山の蝮が丸い塊になって蠢いとったとは…』
男は気味悪がって尻込みする若い衆に、ガソリンを撒かせて焼き払わせました…
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