誰かに聞いた怖い話
・・・御神木4
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かろうじて右手首は繋ぎ合わせる事が出来ましたが、医者の言う事では以前のようには動かないだろうとの事でした…

結局その日の工事はそこまでで終了したのですが、翌朝代わりの従業員を連れて現場にやって来た現場監督達の目の前には…信じられない光景が広がっていたのでした…

大きな銀杏の木の幹には、昨日怪我をした従業員がつけた深い切り口がありましたが、そこから血が流れるように真っ赤な樹液が滴り落ちていたのです…

現場監督達も最初は、昨日の事故の時についた血ではないかと思いました

しかし…血のようなモノは切り口から流れているだけで、幹の他の部分には付いてはいないのでした…

次に考えたのは、村の人間の悪戯でした…

けれども何の証拠もありません

建築会社の従業員達も、この銀杏の木の祟りの噂の事は知っていましたので、伐採を躊躇していた時です…



『いつまで、もたもたしてるんだ!俺がやるからそれを貸せ!任せて置けん!』

建築会社の社長と様子を見に来た男は、怒ったように建築会社の若い衆から斧を取り上げると、思い切り振り上げました

しかし、何か聞こえたのか一度振り上げた斧を下に下ろして、辺りを見回したのです…

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あきゅろす。
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