誰かに聞いた怖い話
・・・御神木2
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しかしその男の生まれたのは、村でも貧しい小作人の家だった…

何しろ封建的な土地柄の為に、その男が幾ら金持ちに成り、人々に故郷の誇りと讃えられようとも…村の旧家と云われている一族の人達からは、所詮成り上がり者…守銭奴と蔑まれるのがおちだった…

そして彼の下に集まる人々も、表面上は媚び諂っていても決して心から尊敬している訳では無く、自分の利益の為に汚物にたかる蠅の如く群がっているのに過ぎなかった…

そして男は2つの決意を固めた…





『おい!どんな具合だ!』



『あっ!旦那…いけませんや…どうにもこうにも歯が立ちませんや!』

『こんな硬い木は初めてでさぁ…刃が欠けちまって…』

そう答えたのは、この銀杏の木の伐採と、男の屋敷の建築を請け負った隣県の建築業者だった…



『泣き言は聞きたくない!出来るのか出来ないのか?』

『出来ないのなら…』



『出来ます!出来ますよ!旦那』

『オイ!さっさと伐っちまいな!俺は旦那と柱の相談してくっから』



『へぃ、社長』

『さぁ、愚図愚図してねぇで、はえぇとこ終わすぜぇ』

そんなやりとりがあった直ぐ後の事でした…





『ギャー…』

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あきゅろす。
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