誰かに聞いた怖い話
・・・退院11
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やはり、そうでした
やはり、私の考えていた通りでした
あの日私達の泊まる筈だったキャンプ場に、私は見覚えが有ったのです
隣接する駐車場の一画に立つ管理棟の造りにも、駐車場の隅にあるこじんまりしたトイレにも…
そして、天井に張り巡らされた大きな網と、昼間のせいかトイレの戸の上の物陰から私を睨む、原色鮮やかな網の主も…
それらのモノは私にとって、間違いなく見覚えのあるモノだったのです
勿論、キャンプ場の周りの景色もそうでした
あの夜ライトが駆け上がって行った、あの峠も…
あの日と違う事と言えば、あそこに張ってあるテントも、そっちでバーベキューをしているグループも、当然あの日は居なかった
勿論、私達は此のキャンプ場には…!
そこで私は気付いたのです
あの日、此のキャンプ場で同泊したあの家族は…?
親の言い付けだと、私達に差し入れを持ってきた…あの少女は…?
その疑問の答えは、既に出ていました
霊体である私達に、普通に接する事が出来るのは…
そうです
私達と同じ存在の…
私は気怠い身体をシートにもたれ掛からせ、いつの間にか夢を見ていました
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