誰かに聞いた怖い話
・・・退院8
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やはり私の思っていた通りでした

あそこには、やっぱりアレが在ったのです

私には鬼門とも言える…あのモノが…





彼が車を停めた場所は、私達が事故に遭った場所よりも、大分手前の直線にある駐車スペースでした

此の近辺では、他に適当な場所が無いのです

事故の現場に車を停める訳にはいきませんし、カーブの手前では他の車の通行の邪魔になります

ですから、カーブ手前のその場所が一番適していたのでした





アスファルトで舗装されてはいるものの、古くなり所々剥れ抜けた道路の上を、一歩一歩踏み締めながら足を進めた私の目に、その光景が映ったのです



そこは私が事故に遭った場所からは、少し手前の場所でした



勿論道路の左側は渓谷に面しておりますから、道路右側の山の斜面に向かって続く階段の事ですが…

その先には…





『大丈夫ですか?』



私はキャンプ場に向かう車の中で押し黙ったまま、助手席側の窓の外を流れる景色だけをぼんやりと眺めていました



私の全然知らない筈の見知った景色を…



私は先程、彼等の為に缶酎ハイと花束をあの場所に供えた後、彼の煙草を一本くゆらせそこに供えて来たのです

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あきゅろす。
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