誰かに聞いた怖い話
・・・退院5
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もっとも、私達二人の恩人となるのは此の時では無く、もう少し月日を重ねた後の事だったのです

此の時はまだ、私を救ってくれた大学の先輩…ただそれだけの存在でした



私も彼女も、そんな事とは全然知る由も無かったのです

まさか…私と彼女が目的を同じくし、その後も行動を共にする存在と成る事など、考えてもいなかったのです





空は何処迄も高く、抜ける様な青さを私に見せつけてくれました



あの事故のショックが未だ覚め遣らぬまま、私は此の病院を退院する事になったのです



けれども、それは私にとっては喜ばしい事でした

病院の小綺麗ではあるけれど、酷く殺風景な病室に独りぼっちで居ると、どうしても考えてしまうのです



何故、私だけが生き残ったのだろうか?



何故、行ってもいないキャンプ場での記憶が、私の中に残っているのだろうか?

私は…私達の車は、その日キャンプ場に着く事は無かったのです

私のあの記憶は、単なる夢か…幻だったのでしょうか?



そして、あの晩顕れた亡くなった私の兄も、私が私の頭の中で作り出した幻だったのでしょうか?



私はその事を考えてしまうのです



あの病室の中で…

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