誰かに聞いた怖い話
・・・退院4
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彼等が事故の現場を漸く探し出し、私達の乗った車に辿り着いたのは、凄まじい雷を伴った豪雨が、天空から地面に向かって叩き付けている頃でした



彼は激しい雷雨をものともせず、私達を助け様と道路上から滝の様に流れ落ちる濁流に翻弄されながらも、腰で一度結んだロープにしっかりと掴まり、四駆のウインチの動きに合わせて斜面を滑り落ちて来たのです



時折辺り一面を照らし出す雷の強い明かり以外に、その急な斜面を照らし出す明かりは、彼の持つ小さな懐中電灯の明かりだけでした



本来ならば、見つかる筈が無いのです

真っ暗な闇の世界に取り残された、小さな自動車が…道路脇の崖の中腹の立ち木に引っ掛かっていようとは、誰も気付く筈がありません



でも、彼等はやって来ました

私達を捜しに来たのです



それは一重に彼女のお陰でした

もしも彼女が居なければ、私も同乗していた友人達同様に手遅れとなり、あの場所で命を落とした事でしょう



そうなのです

私は彼女に、命を救われたも同然なのです



そればかりでは、ありませんでした

命の恩人だけでは無かったのです



彼女は、私達二人の未来についての恩人でもありました

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