誰かに聞いた怖い話
・・・退院3
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私にその事実を教えてくれたのは、家族以外との面会謝絶が解かれ、最初に病室を訪れた後輩でした

勿論彼が、その話題に触れぬ様に気を配っていた事を、私も薄々感じていましたが…



私は怖かったのです



彼に尋ね無くとも、私には分かっていたからです



それでも私は、彼に確かめない訳にはいきませんでした



私の大切な友人達の安否を…



そして事の顛末を…



例えそれが、どの様な結末であろうと…



それでも私は…知りたかった…



それでも私は…見送りたかった…



それでも私は…行きたかった…



彼等と共に…私も一緒の世界に逝きたかった…



私一人が生き残るなんて…



そして、その話を…亡くなった友人の弟の口から聞くなんて…



彼は話してくれました



私を救出した時の事を…





あの日、確かにその場所には有りませんでした

道路を横切った動物を急ハンドルで避けた私達の車は、本来そこに立っているガードレールに、真っ正面からぶつかって止どまる事も無く…ガードレールの代わりに、一列に並べられた真っ赤なパイロンをなぎ倒し、道路脇の崖へと飛び出し急な斜面を駆け下りたのです

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あきゅろす。
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