誰かに聞いた怖い話
・・・目覚め7
.
私は一人で待っていたのです
けれども、私は寂しくなかった…
独りぼっちでも、独りぼっちじゃ無かったから…
私の頭の中には、絶えず仲間の事が浮かび出され、私はその記憶と時を同じくしていたのです
私はその格好のまま待ち続けました…
おかしいですよね?
独りぼっちなのに、一人じゃ無いなんて…
でも、私は感じていたのです
私の事を優しく優しく包み込む様な、その濃い霧の感触の中に、私は何か別のモノの存在を…
でも、重ねて言いますが…それは嫌な気配では無いのです
それより…私は良く覚えていないので、はっきりとは言え無いのですが…まるで母親の胎内で寛ぐ嬰児は、こんな感じで過ごして居るのでは…そう思わずには居られない気分でした
けれども、その安心出来る至福の時間も、ずっと続く訳では有りませんでした
私の意識が突然、まるで私の周りの景色と同じ様に霞み始めた時、私は私に向かって話し掛ける何者かの声によって、その独りぼっちの世界から呼び戻されたのでした
けれども、今度の目覚めは…私にとって良い知らせだけを運んで来た訳では無かったのです
『…さん、…さん?』
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!