誰かに聞いた怖い話
・・・目覚め4
.
私は此の夢を何度見続けた事でしょうか?

誰かが私の名を呼ぶ声で、私は眼を覚ますのです

けれども、そこは又…私が最初に居た場所…暗闇に支配された真っ暗な世界…



そして私は光を求めて、先程と同じ様に当ても無く彷徨うのです



その繰り返しでした



幾度も幾度も、同じ事の繰り返し…



まるで映画のフィルムを繋ぎ合わせて、エンドレスで上映している様に…





『…ん!…さん!しっかりして!』



けれども、物事には始まりがある様に…終わりも必ずあるモノなのですね



私は…私の名を必死に連呼する声に引き寄せられる様に、その同じ夢の繰り返しから逃れ、目覚める事になりました

もっとも、その時間は余りにも短く、私の事を直ぐに別な世界へと誘ったのです



そして私は、別の夢を見始めました

以前とは打って変わった、穏やかな夢を…

楽しかった…あの頃の夢を…





『兄ちゃん!兄ちゃん!大丈夫なの!?先輩!先輩!』



牽引ロープを腰にしっかりと縛り付けた僕は、激しい雨に打たれよろめきながらも、道路脇の急な斜面を下り降り、斜面の途中の大きな木に張り付いた兄の所有する車へと向かったのです

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あきゅろす。
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