誰かに聞いた怖い話
・・・真相8
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でもそれは、仕方の無い事だったのかも知れません
義兄と私の本来の関係は、遠縁の分家の娘と本家の長男と言う関係だったのですから…
私がその年頃の娘らしい装いもせず、言動ですら男の様に変え、亡き義兄の代わりに成ろうとしていたのを、日頃から不憫に思っていたのでしょうか?
当時、本家の跡目を継いでいた義母の母親、即ち先代のお祖母さまの事ですが…そのお祖母さまが、もう直ぐ高校を終え本家の家業に就こうとしている私を、本家の広間に呼び出して言ったのです
私に四年の自由な時間を与えると…
『ごめん…私は皆を騙してた…私は本当は……』
『知ってたさっ!』
『知って…いた?』
顔を上げて皆の顔を見ている事が出来ずに、いつしか下を俯いたまま友人達への詫び言を口にし出した私は、車好きな彼の言葉に驚きハッと顔を上げたのです
そこには私を冷たく見つめる瞳は、一つも有りませんでした
彼等の瞳は優しい光を帯び、私の事を暖かく見守って居たのです
『ごめん!本当は隠すつもりは無かったんだ…でも、私は…』
『皆にどうしても話せなくって…』
『だからね…君の事を怒っている者は、此所には居ないよ』
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