誰かに聞いた怖い話
95話…懐かしい人
.
…嘘だ!
…そんな事がある筈無い!
…そんな筈は…
…でも…でも、今の声が本当なら…聞こえて来た声の持ち主が、私の良く知ってる人ならば…私は…
…やっぱり…私は死んだのか…
…彼等の言う通り…私は死んでしまったのか…
…そっか…
…そうなんだね…
…私は死んじゃったんだ…
…私は事故で…死んじゃったんだ…
私の後ろから聞こえて来た声は、私には懐かしい…本当に懐かしい声だったのです
けれども、彼の声が聞こえて来ると言う事は、絶対に有り得ない事でした
彼は既に、私の居る此の世には居ないのです
彼は既に死んでいるのです
彼は小さかった私を救おうと、私の代わりに命を落としていたのです
その彼の声が聞こえたと言う事は…
私は後ろを振り向く事が出来ませんでした
懐かしくって、嬉しくて…直ぐにでも振り向きたいのに…
後ろを振り向いて、彼の胸に飛び込みたいのに…
たとえ血の繋がりは無くとも、私を愛し可愛がってくれた人の胸に…
私の後ろから不意に聞こえて来た声は、私の代わりに命を落とした…私の義理の兄の優しい声だったのです
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!