誰かに聞いた怖い話
・・・消えた理由3
.
『確かに信じられないよ…今でも…な』

気持ちの高ぶりに言葉を詰まらせたのか、車好きな彼は途切れ途切れに呟きました



『俺が悪いんだ…俺があの時…』



『もう止めなよ!君が悪いんじゃ無いよ!君だけじゃ無く、誰が悪いんでも無いんだ…ただ…それが彼奴の運命だったんだよ…きっと』

サーファーの彼の言葉を即座に否定したのは、旅行好きな彼でした

彼は色々な国の色々な人達と、様々な交流を重ねて来ただけに、人の心中を汲むのが上手く、サーファーの彼の苦悩をも十分察していたのでした



『そうさ…仕方の無かった事なんだよ…僕が子供の頃、よく祖父が僕に言っていたのを思い出すよ…』

『重病の患者さんの中には、どうして快癒したのか医者でも説明が出来ないのに、笑顔で退院出来る患者さんもいれば…明日か明後日にも退院出来る筈だった患者さんが、理由も分からず御亡くなりになる事も有る…私達医者は、その患者さんの宿命迄を変える事は出来ないんだよ…だからね…私達医者は、見立て違いの人災だけは防がなければいけないんだよ…子供の頃に、よくそう言われたよ』

『だから…彼奴が死んだのは、彼奴の宿命だったんだよ…避けられない事だったんだ』

[前頁へ][次頁へ]

24/67ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!