*Melt* No.7 午後の授業が全て終わり、俺たち3人は教室へと戻っていた。 しかし、屋上から下の階へと続く階段を降りている途中で、つまづいて転びそうになる。 「ぅわっ!?」 「悠、大丈夫か?」 「ぁ、ありがとう……」 転げ落ちる寸前で、桐原が支えてくれたから、なんとか助かった。 「あのさ、雪那。……そろそろ眼鏡返してくれないかな?」 「え〜、それはダメだよ!悠勝負に負けたじゃん♪」 「うっ……そうだけどさ……」 俺は今、眼鏡をかけていない。 そのせいで、前も見えないし、何度も転びそうになっている。 なぜ眼鏡をかけていないかというと、全てこの二人……雪那と桐原のせいだ。 〜5分くらい前〜 「雪那、そろそろ眼鏡返して?」 「えー、もうかけちゃうの?もっとそのままでいてよ!」 「俺もそのままでいいと思うぜ」 「それはダメだよ。何にも見えないし、結構大変なんだから」 「むぅ〜……悠のケチ〜」 雪那が頬を膨らませながら、そう言う。 うっ……正直めちゃくちゃカワイイ。 「そんな顔してもダメだよ。お願いだから、返して?」 「もっと見てたいのにぃー。……あ、そうだ!ジャンケンで勝負しよ?悠が勝ったらメガネ返すから!」 「え!?ダメだよ!俺ジャンケンすごい弱いんだからっ!」 「じゃあ、1分間やって、一回でも勝てたら返すってのはどう?」 そこまで条件つけられたら、断りづらくなるじゃないか……。 ってか、桐原までやるつもりなの!? はぁ……ここに俺の見方はいないのか……? 「もぉ……わかったよ。やればいいんでしょ?」 「やった!じゃあ、今から1分間だよ♪せ〜の、ジャンケンポンっ!」 悠…グー 雪那…パー 俺の負け。 1分間とはいえ、開始早々勝てる気がしなくなってきた……。 「桐原、やろう?」 「いいぜ」 「「ジャンケンポンっ!」」 [*back][next#] [戻る] |