小説 大好きな人へ。# 寒いよ。 助けて、シズちゃん。 真っ暗になっちゃったみたい。 ここはどこ? シズちゃん。 シズちゃん。 助けて。 シズちゃん、 俺、シズちゃんに言いたいことがあるんだよ。 シズちゃん。 俺ね、シズちゃんが好き。 素直な俺なんて、変なの。 でもね、俺、本当にシズちゃんのこと好きなんだよ。 シズちゃん、早く、俺のこと見つけて。 「臨也…?」 あ、シズちゃん。 やっと来てくれたんだ。 俺、ずっと待ってたんだよ。 「いざ、や……」 シズちゃんに言いたいことがあるのに。 俺の体、動かないや。 「臨也……っ!」 あれ? シズちゃん、どうして、泣いてるの? 俺が、死んでるから? 俺のために泣いてくれるの? シズちゃんは、俺のことなんか、嫌いなのに? 「いざ、や…臨也っ!」 シズちゃん…。 すぐ、そこにいるのに、触れられないのが、こんなに辛いなんて、思わなかった。 泣きたいのに、もう、泣くことも出来ない。 シズちゃん、 「臨也、ごめんな。俺が、いてやれたらよかったのに…」 シズちゃん、泣かないでよ。 謝ったりしないで。 「臨也、好きだ。」 ………え……? シズちゃん…? 「ずっと、好きだったんだ。」 シズちゃん、俺も、シズちゃんが、好きなんだよ。 好き。 大好き。 「好きだ。」 泣きたいのに、泣けない。 伝えたいのに、伝えられない。 こんなに、好きなのに。 泣きたいくらい。 「シズちゃん、好き。」 「臨也……?」 「臨也!」 シズちゃんが、俺を抱きしめてくれる。 こんな状況なのに、俺は『嬉しい』って思うんだ。 なんだか、存在が消えかかってるのを感じる。 さよなら、シズちゃん。 さよなら、俺の大好きな人。 「臨也……? 臨也っ! いざやぁ!臨也!」 静雄は、黙って冷たくなった臨也の身体を抱きしめた。 いつまでも、そうしていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |