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勇者ものがたり
勇者目覚めました
――――???ヶ月後


「なら話をしようか?」

そう笑った勇者に、魔王は大きく目を見開いた

これが一つの物語の終わり
そして一つの物語の始まり。




























勇者ものがたり〜第一章〜


























歴史上初めて登場した“勇者”…つまり俺なんだが、その俺にも一応ユシア・アレーデという名前があった。

けれど誰かにその名前を呼ばれたことは一度もない。(※ただし人外は除く)


理由は大したことじゃない。何故か分からんがあいつら誰もがゆしあを訛ってゆしゃと発音し、それをわざわざ訂正すればさらに訛ってゆうしゃと呼び
あまつさえいつしかそれが俺の名前みたいな扱いになり
何度言ってもあいつら言い直さねえからそのうちこっちもあきらめるようになったわけだくそがしね


おっと


まあゆうしゃというのも間違いじゃないんだがな。
特殊な水晶玉に手を置くことで人は誰もが自分のステータス(体力、職業、レベルetc.)を見ることができる。ちなみに俺の職業は生まれつき"勇者"だ。

最初勇者ってなんだよって思ったけど、そういえば俺にはこの右膝に生まれつき聖なる痣が・・・いやごめんそれはただ単につまずいてできた痣でした。
まあそれもすぐに魔王が人間界にまでその姿を現すようになったことで、俺も勇者の意味を知ることになったんだけど。
あと神様(笑)のおつげっぽいのもあった気がする。


あーあー、どうせならこんな面倒な職業じゃなくて、俺も普通に村人1とか漁師とか、そういうのが良かったなと、何度思ったことだろう。



なんでも勇者は突然現れた魔王を退治するのが役目?らしいのだが、世界を救うとか、そういうの、いつの間にか全部押しつけられていた俺としては

正直めんどうだし、イヤだし、そもそも俺まだ死にたくないし?

ということでお偉い方から逃げるように無駄に目立つ容姿を変えて、ステータスさえもごまかしてふらふらとあてなく世界中を旅して回っていた。


いたはずなんだが・・・
なんでこんなことに?










――ザザアッ


突如吹いた風とともに幾万幾色もの花びらが舞い上がる。
雪のようにひらひらと舞い落ちるそれはどこか幻想的で……


そこは見渡す限りどこまでも続く花畑だった。
それも花の種類・季節・生息場所・その他全てをまるまる無視して幾億もの花々が咲き乱れるような

決して自然ではありえない“完璧な花園”



風が吹く度にひらひらと舞い上がる花びらを見ながら俺は思わず呟いた。




「ここはどこ?」


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