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勇者ものがたり
トウマの呪い





しっかしまあ、“呪い”…ね。








何もないところでこけたと思えばそのこけた先に鋭く尖った岩が突き出していたり

※精霊魔法で除去しました

「あれ?ユシア、今ここに岩が…」
「気のせい。」




注意して歩いていたと思えばふと曲がった先に
偶然落とし穴があったり

※精霊魔法で瞬時に穴を埋めました

「あれ?ユシア、今ここに穴が…」
「気のせい。」




かといって足元ばかりに注意していると今度は上から古くなり腐りきった太い枝が降ってきたり

※精霊魔法で(

「あれ?ユシア、今上から何か…」
「気のせい。」









ようやく花園近辺から離れ迷いの術の効果範囲から出たかと思えば

途端に数歩進むごとに次から次へと魔物に遭遇するし

スライム如きにはてこずるし

弱い。まあそれはいい、聞けばこれがはじめての戦闘だというし

だが弱いくせに怪我した魔物の子供を見つけて介抱しようとしたり、
そこから素晴らしい連鎖反応で最終的に魔物の群れに囲まれる結果になったり、
ついでに介抱してやった子魔物にも噛まれるという不運ぶり

※これらすべて精霊魔法で(





むしろよく花園までたどり着けたなと、

トウマが死にかけていた時に舞っていたあの黒の精霊…

本来精霊は人の意志なしに人に手を貸す事が出来ない存在だ。故に相当の無理をしたんだろう。








…というかトウマ、お前今までよく生きてこれたな。




運なさすぎ、

巻き込まれ過ぎ

魔物遭遇しすぎ



これじゃ回復の実がいくつあっても足りないぞ…。



「不思議だな…。いつもと比べると、今日は調子がいい気がするんだ」

「そうか…。」

俺はお前のあんまりな不幸ぶりに泣けてきそうだ。


精霊、悪いけど、なるたけ危険そうなものは排除しといてくれ。

『うん!』
『おけー』
『そうじ』
『がんばる』
『いくぞー』


ふう、と思わずため息が出てしまう。



「ユシア?」

「ん?」

呼ばれて反射的にトウマの方を見れば、何やら申し訳なさそうな顔をしたトウマが目に入る

どうした?


「大丈夫?顔色が悪いね。」

「…そ、そうか?」

「…ごめん、僕のせいで何か無理をさせているのかな。」

?!

しまった。

いやいやまさかとは思いますが

精霊魔法ばれt(ry   (※先程から精霊魔法をわりと豪快に使いまくってる自覚がある)


「そ、その…いやいや大丈夫、そういやちょっと腹が空いたかなって思ってたんだ!まあ木の実なら道具袋に腐るほどあるしな、へ、平気だ。」

バカ!俺のバカ!何このマヌケな言い訳!

「そう?それならいいんだ。」

ニコリ。全く疑うそぶりの無いトウマである。


……。
…大丈夫だろうか。いつかしょうもない詐欺に引っかかるんじゃないだろうか、何だろう心配になってきた。


「僕は、呪いの事もあるし、君がこうやって付き合ってくれるだけでも十分すぎるほどだから。
その、ユシアにはあまり無理をしてほしくないというか…」

「無理も何も、俺が好きで勝手にお前に付いて行ってるんだ。
俺としては、むしろお前の話はなかなか興味深いしもっと聞かせてほしいくらいなんだが。」


うん、1000年前のことできればもう少し知りたいな。
記憶の抜けている部分に何があったのか、どうして俺はあの花園で眠っていたのか、その手がかりが欲しい。

「っ、そ、そうかな」




しかし、精霊魔法大盤振る舞い。気を付けよう。


まあばれている訳じゃなさそうだな。


けどトウマは本能的に何かは感じ取ってるようだ。


今までどんだけあからさまに使っても人間にだけは勘付かれた事無いのに。


うーん

実は何となーく、もしかして?と思う事がトウマに対して一つあるのだが


いやまさかなあ…。

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あきゅろす。
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