世界と私 010.ピアノ音 お兄様から貰った親指芸によって あのお二人のいい合いはやっと終了した。 お互いなにかブツブツいいながら 自分のお国にお帰りになりました。 ふう、と溜め息をつくと グランドピアノの前に座っていた ローデリヒさんが口を開いた。 「あなたも大変ですね」 『…いえ…、』 思っていたより少し元気なく返事を 返してしまい、はっと口に手をもっていく。 するとローデリヒさんがふ、と笑った。 『え……?』 「お疲れのようですね、 全く、仕方ないですね」 そういって立ち上がった ローデリヒさんは私の背後に ゆっくりとやってきて、 私を椅子へと移動させた。 訳が分からなくてキョロキョロしていた。 「これからピアノを演奏してあげます、 リラックスしてお聞きなさい」 ローデリヒさんはグランドピアノの 前に再び座って、静かに音色を奏でだした。 私は目を閉じ、ピアノの音に集中した。 ・ ・ ・ ・ ピアノを弾き終わって、 名前のほうを見てみると 彼女は椅子の上で静かに吐息を たてて寝てました。 可哀想なのでそのまま…とは 考えたのですが、流石に無防備すぎると 起こすことに決定しました。 「名前、起きなさい名前!」 『え、……わ、私寝てました!?』 「途中からぐっすりでしたよこの御馬鹿さん」 『いたっ』 ぺし、手に持っていた楽譜で 頭を軽く叩くと名前は痛そうに声をあげた。 リラックスしたら眠くなって しまったんですもの、 と私にはにかんでくる名前。 『でもありがとう御座います 最近よく眠れなかったんです』 でしょうね、 目の下にくまがありますよ。 「それはいけませんね 眠れない日がありましたら いつでもここに来なさい あなたなら、いつでもピアノを 聞かせてあげますから」 ピアノの音色と睡魔 (名前にも会えますしね) *0727* ローデリヒさんは とてもいい声をしていると 思う(^p^) 声だけでも癒やされr ←→ [戻る] |