* 4 俺に本当の兄弟がいることは知っていた。 母さんがいっていたからだ。 『千暁はひとりぼっちで頑張っているの。いつか、あの子にあいにいってあげて。千代。約束よ。』 母さん。どうしてそんなこといったんだよ。 俺は、本当の兄弟なんて要らない。 母さんが、母さんで。 世川のお母さん、お父さん、兄弟が俺の家族だ。 本当の兄弟の存在なんて、ただ今の家族関係をこわすだけの存在じゃないの。 世川の兄弟は4人。特に年の近い1つ下の義弟は俺にあたりがつよかった。喧嘩すれば必ず養子のことを言われた。 『本当の兄弟がいんだろ!?そこにいけばいーだろ!!』 子供は本当のことしか言わない。 言い返せない俺は、ただ泣くしかなくて。 (本当の兄弟なんて要らない、要らない!) そゆとき、必ず上の義兄が助けてくれた。 ぎゅっと抱き締めてくれた。義兄が俺に甘いから義弟は余計に俺に喧嘩を吹っ掛けた。 でも、義弟が本当に俺を嫌っているわけじゃないのは分かってた。ただ、この感情をどう表していいのか、わからないようだった。 『っ何で俺たち、本当の兄弟じゃねーの・・・?』 泣く義弟を抱き締めて一緒に泣いた。 優しい。 優しい俺の兄弟。 俺にはこの兄弟しか要らない。お前は要らないんだよ。千暁。 [*前へ][次へ#] [戻る] |