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俺に本当の兄弟がいることは知っていた。
母さんがいっていたからだ。


『千暁はひとりぼっちで頑張っているの。いつか、あの子にあいにいってあげて。千代。約束よ。』



母さん。どうしてそんなこといったんだよ。
俺は、本当の兄弟なんて要らない。


母さんが、母さんで。
世川のお母さん、お父さん、兄弟が俺の家族だ。



本当の兄弟の存在なんて、ただ今の家族関係をこわすだけの存在じゃないの。


世川の兄弟は4人。特に年の近い1つ下の義弟は俺にあたりがつよかった。喧嘩すれば必ず養子のことを言われた。



『本当の兄弟がいんだろ!?そこにいけばいーだろ!!』



子供は本当のことしか言わない。
言い返せない俺は、ただ泣くしかなくて。


(本当の兄弟なんて要らない、要らない!)



そゆとき、必ず上の義兄が助けてくれた。
ぎゅっと抱き締めてくれた。義兄が俺に甘いから義弟は余計に俺に喧嘩を吹っ掛けた。


でも、義弟が本当に俺を嫌っているわけじゃないのは分かってた。ただ、この感情をどう表していいのか、わからないようだった。



『っ何で俺たち、本当の兄弟じゃねーの・・・?』


泣く義弟を抱き締めて一緒に泣いた。





優しい。



優しい俺の兄弟。





俺にはこの兄弟しか要らない。お前は要らないんだよ。千暁。

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あきゅろす。
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