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「ヨスクさすがじゃーん!」


クラインはニコニコしながら俺の肩を叩いた。今日もうまくもない軍食を食べてるときに。


「上層部もニタニタだよ!ボーナス出るんじゃない?そんときは奢ってね♪」


「あー、まぁ、考えとく」



「なんだよ!そのテンション。ね、どんな手をつかったの?」


ねぇねぇと聞くけど、別に俺は俺のこと教えてるだけだし。最近はNo.1925の相手ばかりさせられて正直欲求不満だ。


「よー。ヨスク。」


「・・・ヤンク先輩。」


俺より3つ上の先輩。拷問の腕はピカイチ。でも俺この人きらーい。自信家で、プライドの高い身の程知らず。


「上からのお達しだ。今日からNo.1925は俺がやる。」


と、いうことは。俺らみたいなのに聞かせられないような情報を聞き取るってことか。


俺からしたら万々歳だ。もうアレは飽きたし、なによりも。


(あの目が、嫌だ。)



俺のすべてを、欲しがるような、気持ち悪い目。



「ま、あとは俺にまかせな」


ポンポンと肩を叩き先輩は去っていった。隣でクラインが唇を尖らせる。


「なぁに、あれ!なんかムカつくー」


「ま、なんだっていいよ」



解放される、とほっとしたのはつかの間で次の日にはまた俺はNo.1925のもとに戻された。


「ひどくあばれましてね、死人も出ております。貴方のやり方に反するかもしれませんがせめて我々も入口までは警備させていただきます。」


「はいはい。」


意外、だった。確かにイカれてんなとは思ったが、まさかこんなことするなんて。どちらかというと無気力なイメージだった。


部屋の、重い扉を開く。男が、顔をぱっとあげた。




「ヨスク!」


爛々と輝いた瞳はまるで子供のようで。嬉しそうに笑う姿に俺はゾッとした。


「ヨスク、ヨスク、会いたかった。もっと近くに来て」


一昨日よりも頑丈に拘束されている。体が重い鉄の椅子に鎖で縛られていて、手首は手錠で擦れて赤く滲んでいる。体も拘束服に血が染みていた。昨日がどれだけ暴れたのかが分かる。



「派手にやったみたいだねぇ。」


「だってヨスクじゃないから。ねぇ、もっとそばに来てよ。」


さっきからそればかり。
体も疲弊しているだろうし、拘束も充分だ。大丈夫だろうと男に歩み寄る。



「もっと、もっと来て。ヨスク、ヨスク、もっと、」


男の目が、俺から一瞬足りとも外れない。その、見開かれた瞳には欲望がわずかに見えた。


あと一歩という距離にまで近づけば男はおもむろに体を動かす。椅子が倒れて椅子を持ち上げるように膝たちになり、俺の下腹部あたりに顔を擦り付けた。


「な、」


「は、ヨスク、ヨスクの匂い、」



「何をしている!」


物音が聞こえたのだろう。外にいた警備兵がなかに入ってきて俺から男を引き剥がす。こん棒で男は殴られていたが、その目が、まだ自分を見ていた。



「っ、」





思わず、部屋から駆け出した。



どうして側に寄ったんだ。
どうして、





(怖い、)






ずっとみとめたくなかったが、俺はあの男が怖い。


あの無機質な目。考えの読めない、表情。




『ヨスク』




「っ、う、」





じんじんと、痛む下半身。す、と手を差し入れればぐちゃりと粘着性のある感触がした。



最悪だ。

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あきゅろす。
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