* 1 「げ、女がいる」 「げ、とはなによ。ムカつくわね。」 軍内にある食堂であろーが、よそだろーが女は好きじゃない。キーキー喧しい上に、すぐに死ぬ。拷問に、耐えられずに、な。 「ヨスク、遅かったね。」 俺と同じ拷問係のクライン。小さい背丈に柔らかい栗色の髪に大きな瞳。まるで美少女のような容姿とは裏腹にその手腕はかなりのものだ。そのとなりに腰を掛ければクラインはにっこりと笑う。 「また、マスターベーション?物好きだね。」 「うるさーい。お前だってそんなナリしてっけどオナニーすんだろ。女とセックスするだろ?」 「するよ。男の子だもん。インポだもんね。ヨスクは」 「ちがいますぅ。女なんかに興味ないだけですぅ。」 今日の軍食はあまり好みじゃない。まぁ、腹が満たせればいいけど。 俺は女が好きじゃない。別に男が好きな訳じゃないけどさ。俺が興奮するのは、人が命の危機にさらされて、でもそれでも屈しまいとする瞳に興奮する。マジで起つ。 「あ、そういえば。来週末にイヴァル大佐が帰ってくるらしいよ。」 その言葉に、ドキリとする。うへー。まじか。最悪だ。基本、強い男は好きだ。その方がよりS心を刺激する。どんな顔を見せてくれるだろうかってな。だけど、イヴァル大佐はーダメだ。根っからのちょおドS。むり。だめ。嫌い。 「なぁんか、噂によると"アレ"の下っぱを捕まえたとか。」 アレ。 軽々しく口に出せない、この国の軍事力と同等の力を持つ反社会的組織。 「あー・・・僕に仕事まわってくるかなぁ。ぜーったいたのしそー」 拷問なんて仕事に匹敵するような素質持ってるやつなんてサディストばかりだ。まぁ、当たり前だけど。 (下っぱ、ね。口の軽い奴ならお断りだ。だってつまんないもん) 口がかたくって。 気が強くって。 気づいたら自分のパンツん中ぐちょぐちょになっちゃうくらい興奮させてくれる奴がいい。 [次へ#] [戻る] |