* 2 夜。うっすら目を開けると、そこにはよく知った顔があった。 「なに?どうした?」 仕事柄物音には敏感な方だ。そこにいたのはダイキ。藍色の瞳がじぃっとこっちを見ていた。ダイキは王直属の命を受けることも多々ある。また、こんな職業柄深夜に眠ることなんか滅多にない。 「・・・なぁに?眠れないの?一緒に寝る?」 そういえば、でかい体がいそいそとベッドの中に入ってくる。ぎゅうっと俺にしがみついて胸元に頬を擦り付けた。 ダイキは、故郷に置いてきた弟のようだった。離ればなれになった弟の代わりみたいにダイキを可愛がった。 ダイキは王の言いなりだ。王を盲信しすぎている。 (かわいそうな、こ) 「・・・なぁ、トキ、」 「んー?」 きっとこの子は王のために死ぬのだろう。俺は、死ねない。弟がいるんだ。弟のために、金のために、俺が死ぬわけにはいかない。 何かを信じて、考えることをしないお前とは違うんだよ。ダイキ。 「トキは、どこにもいかないだろう?王を、裏切ったりしないだろう?」 「何だよ、いきなり」 「俺は、トキを殺したくない。」 恩か、情か。 安っぽい。 「・・・ああ、もうおやすみ」 可哀想で、愛しいダイキ。 誰かこの子の目をさまさせてはくれないだろうか? 誰か、この子を、 この子を。 [*前へ][次へ#] [戻る] |