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大迫さんが出掛けてから外に出たら意外とコンビニは近かった。そして普通にバイトして、顔がアザだらけで店長は裏方の仕事にまわしてくれた。


・・・これからどうしよう。



「うーん。とりあえず、大迫さんちに帰るか」


まだ先輩のことを聞いていない。それに大迫さんは何度も逃げるなと言っていた。

実際に帰ってみたけれど・・・

「これ、どうやって中に入るんだろう?」


部屋を出たときは扉を閉めたらガチャンと勝手にしまったのでなにも考えていなかったが、部屋の番号も覚えていないし・・・あーバカだな、俺。


仕方なく玄関先で待とう。それかアパートに帰ろうかな。でも怒られるのは嫌だ。仕方なく俺はそこに座り込んで大迫さんを待つことにした。



こうして誰かを待つのは、いつ以来だろう。あの人は、どれだけ待っても帰っては来なかったけれど。



『じゃあ、いい子にしててね』


いい子にって、どうすればいいの?

でも俺、もういい子じゃないから、帰っては来ないよね。


高校もやめたし、ヤクザの下っ端なんかしてるし。



だから、あの人は帰って来ないんだ。




「・・・まな?」


その呼び掛けに顔を上げた。そこにはいるだけで存在感が違う男。


「あ、お、大迫さん!俺、バイトにいって、そしたら、部屋ん中入れなくて!」


説明がうまくできない。無表情で大迫さんが俺を見るから、なんだか、怖くて。


「・・・まぁ、帰ってきたことは、ほめてやるか。」



「え?」


ぐいっと腕を引かれる。大迫さんの後ろに、彼の付き人の沢村さんがたっていた。


「沢村、ここでいい。」

「あーい。では明日、またお迎えに参ります。」


「お、大迫さんっ」

つかまれた腕が痛い。どんどんマンションに入っていく大迫さんに抗う隙もなくて。


部屋につくと俺は思いっきり蹴られた。脇腹が超痛い。


「思ってたけどよぉ、お前って頑丈だよなー。昨日あんだけヤったのに動けてんだもんな」


そんなわけない。まだどこもかしこも痛い。でもバイト先の店長には迷惑かけたくなかった。俺を雇ってくれたのもあるし、なにかと気にかけてくれた。


「大迫さん、」



「俺は、いい子にしてろっていったよな?」


腹の上に足がおかれる。ゆっくり重さがかけられていけば苦しさが増していく。


「あ、う、い、いい子にって、どーしてれば、よかったんですか?」


「んー?」


下から覗く大迫さん。
どうしよう。怖い。



「そんなん、お前・・・全裸で足開いて待ってろってことだよ」

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