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3
その日はもう恐くて眠れなかった。
死にたくない。そればかり頭のなかにぐるぐると回る。


先輩は隣で寝ていたから、それを邪魔しないように体を起こした。窓から月が見えた。細い、三日月。


ふいに、涙がぶわっと溢れた。
どうしてこうもなにもかもうまくいかないんだろうか。どうして、俺はいつも、こんななんだろう。


でも、死にたくない。
死ぬのは怖い。


怖いことは一番嫌いだ。



「死にたくないよぉ、」



ピリリ、とふいに携帯がなる。体が激しく跳ねたが、それは自分のではなくて、先輩のだった。俺は先輩を起こして携帯を渡した。先輩は電話に出ると呼び出しだといって部屋を出ていった。


人がいないと余計に寂しく感じる。
体は限界にきているのに、どうしても眠れなかった。



ばたんと扉が閉まる音がして顔をあげれば先輩だった。



「愛巳、今から泉谷さんのとこにいくぞ。」


「え、え?なんで?」


「いいから、いくぞ」


先輩に腕をひかれるまま、俺は部屋をあとにした。先輩は泉谷さんのもとで働いていたが、俺は最近は大迫さんのところにばかりいたので、泉谷さんと会うのは久しぶりだった。


「愛巳、ヘルメット」

「ん」


先輩のバイクに乗るの、久し振り。その腰に腕をまわす。前はこうしていつも先輩にのせてもらっていた。なんだかすごく懐かしくて、腕に力が入ってしまって先輩に苦しいといわれてしまった。

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あきゅろす。
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