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「ふ、ふうちゃ、俺また、いく、」



「ん、いいよ、」


華親は腰を震わせて何度目かの絶頂を迎えた。熱いものが身体の奥に注がれる。ぽつ、と俺の頬に華親の汗が滴った。見上げると華親は泣いていた。落ちてきたのは汗ではなく涙だった。



「嬉しい・・・俺、今、すごく幸せだ」



うっとりとした顔でそう呟く。華親がそういったことをいうたびに心の奥底が冷えていく。快感よりも罪悪感が強くて全然集中できなかった。


「お、俺ばっかり気持ちよくて、ごめんね。へたくそで、は、はじめて、だから、」




「そんなことねぇよ。気持ちいいよ。」




「ふ、ふうちゃんっ」


そういうと華親はさらに感極まったように目に涙をためた。俺は、一体何がしたかったんだろうか。こんな純朴な少年を汚してどうしたかったんだろうか。どんどん自分が虚しくなる。価値がなくなっていく。もとからそんなものがあったかなんて知らないけれど。



「ふうちゃん。ずっと、ずっと一緒にいてね。大好きだよ。」



そう笑う華親を、俺はまっすぐ見れなかった。











「ふーくん。いま、いい?」



その日の夜珍しく俺の部屋に奈月がやってきた。あの日以来まともに会話をしていなくてまさか話しかけてくると思わなかった。


「・・・なに?」


正直今は顔を合わせたくなかった。これ以上劣等感に押し潰されると息がつまる。死んでしまう。けれど奈月はそんなこと知らないから俺の部屋に足を踏み入れた。



「ごめん、ちゃんと話したくて・・・やっぱふーくんには、認めてほしくて。花政とのこと。男同士で気持ち悪いと思うよね。だって、ふーくんの方が花政と仲良かったから。」


くるしい。唇を噛む。くるしい。
そうだよ、仲良かったよ。好きだったよ。俺だって。好きだった。




「・・・いいよ。俺も気持ち悪いって言ってごめん。」



いつも、こうなる。
結局俺は言いたいことを噛み砕いて飲み込む。
だって、なにも言えないだろ。こうやって、真摯に訴えかけられて、これ以上どうしろと。嘆いて罵倒して醜態晒しても、どうにもならない。だから、飲み込む。



「良かったぁ!ありがとうふーくん!」


そういって奈月は満遍の笑みを浮かべた。俺は作り笑いもできなくて顔を背けた。大丈夫、諦めたらいい。いつもみたいに諦めたらいい。感情を、噛み殺してしまえばいい。



「もっと、怒ってるかと思ったんだ。よかった。」



ふと肩に手を置かれる。俺が顔を背けた瞬間に奈月は俺の背後に距離を詰めていた。気がつかなかったため俺は体をびくつかせてしまった。そんな俺に気にもとめず奈月は俺の耳元に囁いた。


「ふーくんは、僕の半身だから。いつだって味方でいてほしいし、いつだって味方だよ。」






俺はそんなこと、一度も思ったことはない。




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あきゅろす。
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