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いじめられっこ同盟
9
「ちょっと、落ち込みたいのは僕の方だよ。あーあ、こんなボロボロにされちゃってさ」

 そう言いつつ、裕次郎は縫い付けられたはぎれをどこからか取り出した糸切り鋏で丁寧に外し始めた。
 なんだかんだ言いつつ結構良い所あるのかもしれないな。

「器用だな」

 あっという間に元の状態に戻った上履きを履き直し、蘭蔵は感心したように呟いた。その様子を見ていた裕次郎は得意げな笑みを浮かべていた。

「お前良いとこあんじゃん」
「ていうか僕の何を知ってるの」

 せっかく褒めてやったというのに、裕次郎は間髪入れずに突っ込んだ。確かにさっき会ったばっかりの他人なんだから当然といえば当然か。

「どこの誰だか知らないけどさっきから失礼だね君」

 自分のことは棚に上げて、裕次郎は人差し指を俺の鼻先に突き付けて言った。どうでも良いが行動が一々鬱陶しいな。

「梅津君のことは知ってるけど君は誰なの」
「俺も……高梁は見たことあるけど……」

 二人の視線が突き刺さる。

「は? 俺のこと知らないの?」

 自分で言いながら少し恥ずかしくなった。まるで誰にも気付いてもらえないくせに自意識過剰な無名の芸能人みたいじゃないか。

「俺はお前らのこと知ってたんだけどな」

 必死に話を逸らそうと、何か言われる前に続ける。


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あきゅろす。
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