21 大丈夫かと気遣う言葉の割にむしろ面白がる節の声に、返事が詰まる。 「あぁ、まあ……」 少しばかり自失していたらしい。 辺りを見れば金丸が「じゃあな」と言い残し立ち去る所だった。 雅寛も立ち上がり、洋一郎が正面でうん●座りしている。 「菊原くん、正平がとんでもない迷惑かけちゃったね。もう正平からは声掛けない様に言い聞かせとくから」 「はい…………是非」 「あと、今回の金丸みたいな呼び出しもされないようにしとくね。そっちのが問題でしょ?まぁ今回のはホントうちのチームの問題で、菊原くんは巻き込んじゃった様なもんだから、悪かったよ」 「いえ」 「あと、今回の正平の事あんま言い触らさないでね。話の出所がお前だって分かったら、みんなで報復に行くから」 「分かりま……いや言い触らすまでもなく本人が叫びまくってたんであらましは知れ渡ってますよね」 「あははちゃんと聞いてたね。鋭い切り返し〜」 「は?」 「じゃ、そーゆー事で」 一方的に話を完結すると洋一郎は立ち上がる。 それに合わせて嵩斗も立ち上がるが、当然一緒にこの場を立ち去る気になどなれない。 呆然と不良たちが消えるまで眺め―――鳴り響く、昼休み終了を告げる予鈴に、慌てて弁当を回収して教室へと戻った。 **** なんかもう、またもや午後サボりたくなるほど疲れていた。 しかしそこは根が真面目というかサボり下手というか、思っただけで一直線に教室まで戻ってきた嵩斗だった。 走ったために弾んだ息を一息で整え教室の中へ入ると、今朝のデジャビュを見るように、その存在に気付いた者から騒ぎ出す。 「嵩斗!戻ったか!」 「大丈夫だったか!?」 「無傷!?え、無傷!?」 「ばっかお前それは……」 「あ!そうかそうか!?」 主にうるさいのはアツシとサトシ、そして 「嵩斗!どうなったんだ!?」 ガタガタと机をかき分けて駆け寄ってくるマサシ。 「はは、あー、お疲れ」 _ [*前へ][次へ#] [戻る] |