短編集
二人の彼【TOV】
設定は
・やっぱりユーリとフレンと幼なじみ
・フレンはなんだかユーリ大好き?
・いやいや違う、ユーリは保護者なんだ!(?)
なんて話
二人の彼。
私にとってはどちらも大事な幼なじみ。
でも、あるひとりに言わせれば片方は私の――。
二人の彼
ユーリにくっついて故郷をでて、下町の魔核探しをしている。なんでかわかんないけどユーリたちと一緒に旅をしている。
そんな簡単に魔核が見つかるわけもなく……――で今に至る。
と、そんな道中に久しぶりにフレンに会った。うん、ほんと久々に見たよ、このお顔。
前に会ったのはいつだっけ?あぁ、そういえばあの町で会ったような気がするな。いや、違う?……ううん、やっぱりあそこの町だ。
「フレン達もここにきてたんだ」
そう聞いてみると何日か前からここにいる、って言っていた。ちなみに今は私ひとり。
何故かひとりで買い出し組。そんなときにフレンに出会った。どうやら彼もひとりらしい。キョロキョロと周りを見たけど、いつも一緒にいる(んだと思う)ソディアやウィチルの姿は見当たらない。
「フレンもひとりなの?」
「あぁ、一人だよ。『も』ってことはカナ――君もかい?」
「うん、買い出し組でひとり〜」
今回はいろいろな諸条件でひとりなんだよね。まあ、買うものが少ないからいいけど。
「……ユーリは?」
おおっ、やっぱりそうきたかフレンさん!私の読みは当たったよ!
ユーリ大好きなフレンだ。フレンの頭のなかにはきっと、長髪黒髪胸元ヒラヒラな人間しか住んでないんだと思う!ってずっと感じてたもん。
そうくると読んでたんだよ、私。
「ユーリ?」
そう、返してみる。
うわぁもう、フレンったらユーリのことが好きなんだなぁ(あっち方向ではないよ)
「だって、カナの保護者と言ったらユーリだろ?(その前にカナひとりで、なんてユーリはしないだろうし)」
……
そういう意味でのユーリですか?
ユーリに会いたいとかでないユーリですか?あれ、私の保護者なユーリなんですか!?
なんか、さっきフレン『保護者』とかなんとか言ったよね?
――というか
「私の保護者ってなんですかっ?」
ユーリが保護者?いや、なんで?ありえないよそれって。いつユーリは私の保護者になったんだ!?
「なんだか、そんなイメージがあったから」
……あれ、それって先入観ですか?先入観ですよね?
どんなイメージなんです、フレン!ユーリが私の保護者とか。私がユーリの保護者ならわかるけど!
「それにほら、噂をすれば――」
「買い物もひとりで出来ないのかよ、お前は」
「ユーリ?」
なんでいるの?どこからきたの?って感じでため息をつきながらユーリ登場。
なんでここにいるってわかったの?なんていうお決まりな台詞が出てきそうになったけど、そこはぐっと呑んだ。
だって相手はユーリ。ヤツならやってのけるだろう……。
「聞き捨てならないよ、ユーリ!買い物くらいひとりで出来るし!」
「じゃあなんでこんなに時間がかかんだよ」
「そんなに時間経ってない……」
「お前が宿を出てってもう小一時間は経ったんだけどな」
――いや、そんなバカな。
そんなに経ってるはずないじゃん。だって、
「それが経ってるんだよ」
しっかりしてくれ、って言いたげなユーリ。いや、顔がそう言ってる。
「まさかフレンと話てたら――とかじゃないよな?」
私の目の前にいるフレンを見ながらそう問う。
「いや、僕がカナに会ったのはついさっきだよ」
うん。そうだよね、フレンとはついさっき出会ったもんね……ってあれー、じゃあ私小一時間もなにしてたんだろ?アイテムの買い出しに町に繰り出したはずなんだけどなぁ?
あ…なんかここ通ったような?って風景もあったよ。
――あー、これってまさか
「聞くことなのか悩むとこだが……迷子か?」
「治ってないんだね、方向音痴」
なんでユーリもフレンもまたか…なんて二人で顔を見合わせてるの?いや、そもそも私方向音痴な人間なんだね。ごめん、言われて気づいたよ。そっか、方向音痴なのか私。
「あー、そっか!だからユーリは私の保護者なのか!」
フレンが言った言葉の意味がいまわかったよ。そう言われれば、ユーリは私の保護者だね。こうやってお迎えにきてくれるんだもん。
「大変だね、カナの保護者は」
「大変だと思うなら、フレンいるか?」
そう言ってユーリは私を指さした。
するとフレンは曖昧な笑みを返してきた(いらない、って意味……なんだと、思う)
……ユーリ本人も否定しないんだ。保護者って部分。
自他共に認める私の保護者はユーリか。
「ほら、さっさと買うもん買って帰るぞカナ。リタのやつが怒ってたしな」
「うん……でも、帰りたくないな。リタが怒ってるとか――」
あぁ、きっと宿に帰ったらリタに怒鳴られるんだ私は。
「というわけだ。じゃあな、フレン頑張れよ」
「ユーリ、君も。カナの面倒を見るのは大変だと思うけど」
なんてフレンスマイルを見せてくれた。
「ひどいフレン!その言葉訂正してっ!」
.
二人の彼。
二人は私の幼なじみ。
だけど片方は兼保護者みたい。いや、もしかしたら二人とも私の保護者なのかも。
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