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短編集
運命共同体?【TOV】

似た者同士
いらないところが

別に真似をしているわけじゃない
それにまねてるわけでもない
なんでこんなおかしな部分が似ているの?




運命共同体?




ユーリといたらいつもこう
パターンはお決まり。もうユーリってなんでこうなんだろ?こいつ運ないんじゃない?ってほどね
悪運ってこんなのを言うんだと思う!
ほんっとここの常連さんだよね〜
いやもう、下町公認帝都公認で
隣の部屋にいるユーリに聞こえるように「あーあ」なんて大きな声をだす


「馬鹿じゃねぇの……みたいにでかいため息つくなカナ」


言葉とともに大きく、これまたユーリにわかるようにため息を吐いた
でもね、


“みたいな”

じゃなくて


“馬鹿じゃない”


っていう断言なんだけどね。こいつほんと大馬鹿よ。殴っても、蹴っても、斬っても、叩いても、 刺しても、何をしたって治らない
これは一種のビョーキってもんだよ


「あのさぁ……ユーリってばこれで今月何回め?」

「――あぁ、どうだったかなぁ」

えーっと、なんて言ってる。きっと数えてるんだろうな
その前にそんなに今月ここに入ってたの!?だからか、見かけない日が多かったのは

「よんかいめ……だったか、いや五回目――だったか」

「なにそれ。もうさ、ここを居住地にしちゃいなよ。ほら、住所変更しちゃお」

その場のノリの空気でユーリに言う
そんなにここが好きならそうすればいい、とただ単純に思うから。ユーリならこの環境を快適なものにできるよ
私が保証する!


「誰がこんなとこに住むかよ……ここ、牢屋だぜ?」


――かるーいノリで言っちゃったこの場所
いま私とユーリがいるのはユーリが言ったように牢屋という名の牢獄
帝都ザーフィアスのお城地下にある
その名の通りイメージ通りな場所
ジメジメして嫌だなぁ、私としては早くでたい……
ふかふかなベッドが私を待ってるのに

「というか俺がそうならお前も立派な住民だろ」

トントンと壁をユーリが叩いてきた。私がユーリと同じ?
笑わせないでよ、なんで一緒にならなきゃならないの!
牢屋族とか勘弁してほしい
しかもその仲間がユーリとか……死んでも死にきれない、王様ゲームの罰ゲーム


「ユーリってば失礼なヤツ!私はまだ今月2回目ですー」

フンと笑いながら言ってやった。ユーリよりは少ないんだから。私はユーリのように何回もここにお世話にはなってないし


「何だよその自慢。ここに二回お世話になってる自体もう常連だろ」


……笑い返された
あの、ユーリに。なんか腹がたつ
あほ、って言われたみたいになってくる
いやまあ、否定はできない。お世話になった、という事実があるのだから
でもねー……


「今回私がここにいるのってユーリのせいだと思うの」

「なんでだよ?カナが勝手に便乗しただけだろうが」

「ううん!ユーリのせいだ!ユーリがあんなことに首を突っ込むから」

「お前が勝手にしただけなのにマジでオレのせいかよ」

「ユーリがあんな事しなかったら私ここに今回いないし!」

「じゃあ仲良くやろうぜ。似た者同士、な」


またユーリが壁を叩いてきた
次は乱暴に――なんかじゃなく優しく
軽く、ノックをするように
どことなく声も柔らかめで……さっきまでの人を馬鹿にしたような否私を馬鹿にしたような口調ではなく――



似た者同士、か


悪くはないと思うけど
牢屋族という似た者同士はやめてほしい




.
(私さ。ユーリといたら不幸になりそう)
(……それオレの言葉だろ。カナといたら幸せが逃げていくな)
(なにそれ!)
(面倒ごとばかり起こすから)
(それはユーリでしょ!)




(似た者同士、)
(運命共同体)



おまけにつくのは不幸の塊、牢獄行き人生?


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あきゅろす。
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