短編集
嘘?ホント?どっち?【TOD】
盛大に嘘をつこう!
嘘?ホント?どっち?
今日は、きっと自分の感覚の月日でいくと4月1日なんだと思う。
いや、自分の感覚でなくても今日は4月1日なんだと思う。
「スタン、スタン!リオンが……」
嘘をついてみよう、なんて考えている彼女――カナ。
ちなみにリオンのあとなんて言おうかなんて考えていない。ここで台詞を考えていたら、スタンに何をしようとしているのかバレてしまうから(相手はスタンなんだからバレない確率の方がかなり上――なんて考えは彼女にない)
「リオン?」
何が言いたいのかわからず、とりあえずリオンと聞き返してみる。一体、リオンがどうしたというのか?
「見ちゃったんだよ、わたし!」
効果音をつけるなら、バンッ!なんて机を叩く音なんだろう。
カナは慌てた様子で「大変、大変」と早口に紡ぐ。
彼女は一体何を見たと言いたいのか?未だにそこまでたどり着けていない。
「実はね……」
――リオンったら
とスタンにだけ聞こえるように呟く。
最後に一言「驚きの事実でしょ?」と付け加える彼女。
「リィィィオォォーン!」
カナの言葉を聞いたスタンは思わず固有名詞で叫ぶ。
「ちょっと、スタン静かに!」と口元に人差し指でもっと声のボリュームを下げるように促す。周りを見てみると、皆スタンを見ていた。リオン本人がそこにいなかったのは幸いだ。
「それ、本当なのか?カナ」
「うん!見たって言ってるじゃない」
気になるなら本人に聞いてみればいいよ、と言ってみる。
「いや、これは聞いたら失礼じゃないか?」
「大丈夫だよ!リオンの言い方がキツいのはいつものことだもん」
頑張れ、スタン!と声援を送ると彼はリオンを探しにその場を立ち去った。
それと同時に彼女のもとへルーティがやってきた。
「ちょっとカナ、あんたあのバカになに言ったの?」
「え…気になるの?わたしはただ『リオンは実は女の子』って言っただけ」
爽やかに、嘘か本当なのかわからないほど爽やかな表情でカナはルーティに告げる。それこそ、ルーティだって騙されそうになったくらい。
「あんた、それ嘘よね?」
思わず聞き返し、確認をとる。
「どっちだと思う?」
悪戯っ子が浮かべるような笑顔で聞き返す。
「今日が何の日か考えてみてよ」
今日はエイプリルフール。
――嘘をついてもいい日。
.
(なぁ、リオンに女なのか?って聞くと怒られたんだけど)
(……あんたバカじゃないの?)
(あ、スタンあれ嘘だよ。だってエイプリルフールだもん)
(スタンご愁傷様ね)
(……)
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