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■小説■


どうも表が騒がしい。

不思議に思った総司は刀をしまい、腰をあげた。

近くでドタバタ足音がする。

「紗那?いるのか?」

「総司さんッ!逃げて!!!」

悲鳴に近い紗那の叫びに総司は驚いた。

だが、それ以上に驚いたのは

「紗那!!どうしたんだッ」

着物が赤く染まっていた。

露わになった肩から血液が溢れ出す。

「紗那ッ」

「だ、大丈夫です…逃げ、て――」

倒れかかった紗那を抱き止めると、その背の向こうに刀がギラリと光っていた。

先が血の色に染まっていた。

「沖田総司とお見受けする」

「!!」

「お命頂戴するッ」

言うが早いが切りかかってきた。

紗那を抱えたまま太刀を避ける。

じりじり後ずさっていると、コツンと足に固いものが当たった。

菊一文字である。

紗那を床に下ろし、菊一文字を手に取る

さっき手入れをしたから切れ味に問題はないはず。

だが、切れるだろうか。もう半年も戦いの場で刀を抜いていない。

「止めて!総司さんは病人なんですッそんな人を大人数で殺めたとあっては男が廃りますよ!」

紗那が必死で叫ぶ。


「紗那…」


総司は呟いた。

戦いかたなら体に染み付いている。

俺は何を恐れている?死ぬこと?

護るべきものを守れないで生きても、死んだ同然。

護るべきもの、武士道、仲間、大切な人。

目の前には紗那がいる。

そう、大切な女性が。



チャキッ

柄に手をかけ、刀を引き抜く。

微かに赤く光る刀身が現れた。

「新選組一番隊長、沖田総司。参る」



近藤さんや土方さんは、日本を守るため戦っている。

俺はここで、大切なものを守ろうと戦っている。

二人に比べたらちっぽけかもしれないけれど、俺にとってはかけがえのない、ただ一人の…。


「紗那…」


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あきゅろす。
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