No.008 A cluster amaryllis express it 日番谷は今、緋色の見た夢の話を聞いて、自分が斬魄刀を手に入れた時のことを思い出していた。 そして思い出しながら、緋色の見た龍の特徴をもとに、当て嵌まる斬魄刀の資料を探しに来ていた。 「……黄金の龍、黒髪に紅目」 日番谷は、ある資料を発見した。 手を伸ばすと、赤いラベルがついていて“モチダシキンシ”と黄色で書かれていた。 その資料を手に取り、パラパラとめくる。 そしてあるページで、日番谷は手を止めた。 「伝説の斬魄刀・黄龍と…その使い手の…現世の、女…だと……!?」 貼付けられた1人の女性と白銀の刃に金色に光る鍔の刀の写真。 その下には、こう書いてあった。 現世・空座町に位置する天城神社の巫女であった彼女は、神社に奉られている宝の守護者として生きていたが、死神にも勝る霊力故に、人間として生きていたときに殺された…。 宝の守護者の証として、彼女には彼岸花の痣が右肩にあった。 死後、彼女は死神としての力を手に入れ、斬魄刀・黄龍を手に入れたが、次第に彼岸花の痣から勾玉のような痣が身体中に現れた。 現れる度に彼女の力は強力になり、ついに彼女は自らの力に飲まれて… 骨も遺さずに消えてしまった。 「じゃあ、アイツは……っ」 目を通し終えた資料を乱暴に戻すと、日番谷は部屋を飛び出して、ある所へと駆け出した。 彼岸花が表すモノ (消えた彼女は、朔夜といった) (まるで月の無い夜のように) (彼女は跡形もなく) (消えてしまった、) 090316 九条雨音 ←→ |