No.005 You who disappeared 緋色が死んだ、信じたくねえけど…アイツはもういねえんだって、嫌でも葬式は思い知らせる。 両親のいねえ緋色の葬式は、全部親父が手続きして準備した。親父も柚子も夏梨も、緋色が大好きだったから、死んだって聞いて驚いた。 もちろん俺もだ。 最初はアイツが死ぬはずねえって思ってた。だけど血まみれのアイツを見た時に、それが現実だと知らされた。 ルキアには頭下げて、5日間は死神代行を休みにしてもらった。 それくらい大切なアイツ。 ケーキ奢る約束だってしたし、親父達とだって受験が合格したらパーティーしようって約束してた。 受験ったってまだまだ先の話だけどよ、アイツが来たら毎日パーティーだったけどよ、それでも楽しみにしてたんだぜ? 「何でだよっ……緋色…っ」 緋色、って呼んだら「何?一護お兄ちゃん!」って返ってくるはずなのに、今俺の目の前にいる緋色は目を錘って動かない。 「あのね、あたし一護お兄ちゃんと同じ高校行きたいんだ!だからね、合格してみせるから…一緒に学校行こうね!」 「おう!」 「……ちきしょー…」 自分から約束してきたのに、自分で破ってんじゃねぇよ…馬鹿緋色。 悪態づいてみても、目から溢れる涙は止まることを知らずに流れ続けた。 消えたお前 (お前の笑顔が、声が、) (頭の中をぐるぐると廻る) 090307 九条雨音 ←→ |