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No.004
 The words that were told



「さて…話を進めるとするかのう…日番谷十番隊隊長、下がるがよい。もちろん、松本十番隊副隊長もじゃ」

「………2人とも、あたしは、大丈夫、だから」


大分取り巻く圧倒的な力…トウシロウくんの言っていた霊圧というものに慣れてきた時に、中心に立っていたお爺さんがそう言った。
2人は納得してないような顔だったけど、何とか下がってくれたみたいだ。


「お主…名前を何という」

「………天城緋色、です」

「緋色か…では緋色とやら、お主はどうやって瀞霊廷に入り込んだのじゃ」

「………なっ!?」


お爺さんの言葉に、あたしは目を見開いた。
あたしをこっちに連れてきたのは、こっちの人ではない……?


「あたし、入り込むも何も…貴方達と同じ格好の人に斬りつけられて、それで……っく……!」


すさまじい痛みが身体に走った。
どうやら、この霊圧に耐えられなかったのか、傷口がパックリと開いたらしい。
押さえていた手にはべっとり血がついていて、あたしは目を見開いた。


「卯の花四番隊隊長、今すぐ治療に入るのじゃ」

「はい」


命令を受けたお姉さんは、すぐにあたしのところに来て、傷口に手を翳した。
すると手から淡い光が出てきて、急速に傷口を塞ぎはじめた。
まるで漫画を読んでいるようだ。


「もう大丈夫ですよ。でも出血量が多かったので、後から輸血しますからね」

「あ、ありがとう、ございます」


あっという間に傷を塞いだお姉さんは、にっこりと笑ってそう言った。(その笑顔に一瞬恐怖を抱いたのは秘密だ)


「皆の者、少し霊圧を下げれぃ!」


お爺さんがそう言うと、一斉に空気が軽くなったのを感じた。
お爺さんはあたしの前まで歩いてくると、あたしの目線に合わせて話し始めた。


「どうやらお前さんは中々の霊圧の持ち主のようじゃ。そしてその服は現世の…どうやら現世にいた死神がお前さんをこっちに送ったことに関わってるみたいじゃな」

「死神……?お爺さんも、死神なんですか?」

「ああ、そうじゃ。儂だけじゃあない、此処に居る者全て死神じゃ。

緋色、儂らに話してくれぬか?お前さんの身に、現世で何があったかのう…」


最初の威圧的な態度とは違い、優しげな目のお爺さんに、あたしはゆっくりと話しはじめた。


「あたし、空座町って町に住んでたんですけど、そこに昔からある神社…天城神社の一人娘だったんです。そのせいなのか、昔からよく人には見えないモノを見てたから、黒い和服に刀の人も、その類だと思ってたんです。

でも違って…その人達はあたしを見つけるなり切り付けてきて、気が付いたら…最初の牢獄に…」


「山じぃ…もしかして、この子…」


あたしの話を聞いて、桃色の艶やかな着物を肩にかけたおじさんがハッとしたように話しはじめた。

お爺さんも神妙そうな顔であたしを見ていた。


「緋色、お主…身体の何処かに花のような痣はないか?」

「痣…なら、ありますけど、彼岸の花の痣が……」


確かに痣なら生れつきあった。左肩に、彼岸花に似た痣が。

しかし何故それを、初めて逢ったこの人達が知っているのだろうか。


「どうやらお主は……いや、何でもない。じゃが1つだけ言えることは…お主の運命は、いずれ自分にのまれる運命ということじゃ」

「自分に………?」

「気にするでない。爺の戯言だとでも思ってくれればよい」


悲しげに目を細めるお爺さんに、あたし何も言えなかった。




告げられた言葉




(運命の歯車が)

(廻りだしていた)




090307
九条雨音






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