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No.003
 Among 13 captains



「緋色と言ったな…傷が痛むとこ悪いが、ちょっとついて来てくれ」

「………うん」


懐から鍵の束を出したトウシロウくんは、牢獄の鍵を開けてあたしを出した。
力の入らない足に出来るかぎり力を入れて立つ。
フラリと揺らぐ視界に、自分の身体さえも支えられず崩れる足。

あたしはその場で膝をついた。


「緋色、捕まって」


ランギクさんがあたしに手を差し出した。
あたしはゆっくりと手を伸ばす。
掴まれた手をぐっと引かれて、あたしはランギクさんに支えられて立った。


「持ってきたぞ」

「あ、ありがとーこざいます。さ、緋色、座って座って!」

「あ、はい……」


トウシロウくんが持ってきてくれたのは車椅子で、あたしはそれに座った。
座ってすぐに足から力は抜けて、それを感じて自分の身体を情けなく感じた。


「松本、行くぞ」

「はい」


そしてあたしは、牢獄を後にした。





□□□


「………大きな、扉」

「…緋色」


一と書かれた大きな扉に圧倒されていたら、隣に立っていたトウシロウくんが静かにあたしの緋色を呼んだ。


「……何?」

「この部屋に入ったら、霊圧に当てられて具合が悪くなるかもしれないが我慢してくれ」

「……?うん」

「悪いな…じゃあ、行くぞ」


トウシロウくんの霊圧って言葉があまりよくわからなかったが、あたしは取りあえず返事をした。

そして大きな扉は開かれた。


「これで全員揃ったようじゃな…」


威厳のある声が空間を支配した。

ランギクさんがゆっくりと車椅子を進めていく。
だが、部屋に入った瞬間、トウシロウくんの言ったことをあたしは理解した。


「っ……」


この空間…いや、あたしを取り巻くこの圧倒的な力に、あたしは眉を潜める。
圧倒的なこの力が傷に障る。
バッサリと此処に来る前に斬られた左肩から右の腹部をあたしは優しく抑える。


「緋色、大丈夫か…?」

「ト、ウシロウくん……だ…いじょ、ぶ…」

「でも緋色…傷痛むんじゃない?」

「だ、いじょぶ……」


心配してくれる2人に大丈夫と告げて、あたしは部屋を見回した。
部屋にはトウシロウくんと同じ白い羽織を着た人がトウシロウくんを含めて13人、あたしの周りに立っていた。




十三人の隊長に囲まれて




(こわい)

(斬られたときと同じくらい)

(それくらいこわい)

(こわいよ、)




090307
九条雨音






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