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惨劇の開幕



「楽しそうじゃの、亜沙紀」

「当たり前よ!初めてですもの!」


ゆっくりと坂を上るジェットコースター。
亜沙紀はワクワクした顔で座っていた。
そんな亜沙紀を、事務所の仲間や一緒に乗っているお姉さん達は微笑ましく見ていた。


「そろそろじゃな」

「え?何……がっ!?きゃああぁぁああ!」


ゆっくり上っていたジェットコースターがものすごいスピードで急下降し始めた。
スピードを加速したままカーブに突入し、真っ暗なトンネルに突入した。


「きゃあっ、……ん?」


ピチャっと、温かい何かが亜沙紀の頬に飛んできた。

瞬間、


「うげっ!!!」


ジェットコースターを乗ってるときには聞こえないはずの声が聞こえてきた。
まるで何かに首をしめられたような声が…
そして後ろから飛んでくる大量の温かい何か。
暗くて何も見えない。


「雅治、この匂いって……」

「ああ……アレしかないじゃろう」


さっきまでジェットコースターで騒いでた面影がなくなった亜沙紀。
顔付きが、仕事のときのものに変わった。

出口に近付き、明るくなりはじめた。
そして見たものは、


「きゃあああぁあぁぁぁあ!!!」


首から上が切断されて、切断部から血の噴き出した熱々カップルの男だった。


「休みはないみたいね」


戻って来て、止まったジェットコースター。
混乱している乗り場。
噴き出した血が顔や服に付着している亜沙紀は、顔に付いた血を掬って見つめながらそう言った。




惨劇の




(考えるんだ、)
(この事件のトリックを)




090125
九条雨音






あきゅろす。
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