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暇人の趣味の部屋一号室(長編小説)
幕間その一 SideH〜私と友人と〜

〜八神家〜


――ピンポーン。

朝食を終え自分の部屋を片付けていると、玄関のチャイムが鳴った。

おそらく、約束してた私の友達が来たのだろう。


「はーい!」


聞こえないだろうけど一応返事をして、パタパタと下へ降りていき扉を開けた。


「おはようはやてちゃん」

「おはようさんや。なのはちゃんにフェイトちゃん」


そこにいたのは私の小学校からの友達、なのはちゃんとフェイトちゃん。


「ささ、あがってやー」

「おじゃましまーす」「おじゃまします」

「・・・あれ?」


家に上がり、靴を揃えたなのはちゃんが首をかしげる。

その視線の先には、翼君の明らかに男物の靴が。

そして、なのはちゃんが私のほうを見て――にやりと口元を緩ませた。

――あかん。このときのなのはちゃんは確実にSモードにはいっとる。


「へぇ・・・知らなかったなぁ、はやてちゃんにそんな人がいたなんて」

「そ、そんな人って?」

「ふふ、誤魔化さなくてもいいのに。――彼氏さん、だよね?」

「「ええっ!?」」


何故かフェイトちゃんも驚きの声を上げた。

フェイトちゃんは顔を赤くして、私を見つめる。


「そ、そうなのはやて・・・?」

「ち、ちゃうわ!ただの従兄弟やって!」


慌ててそう言うと、フェイトちゃんは『そ、そうだよね・・・』とほっとしたようにため息を吐いた。

が、なのはちゃんの笑みは無くならない。


「でも男の子だよね?」

「ま、まぁそうやけど・・・」

「つまり、はやてちゃんは今、一つ屋根の下で男の子と暮らしてると。・・・何があってもおかしくないよねぇ?」

「ッ!?」


ボッ、と自分の顔が真っ赤になったのが分かる。

なのはちゃんは本当に愉快そうににやにやと笑みを浮かべ、フェイトちゃんはよく分かってないのか、『?』と首を傾げている。


「な、ななななな!なにを言っとるんやなのはちゃん!?」

「何って、一人暮らしだったのにもう一人面倒みなきゃいけないから大変だよねって言ったんだよ?」

「絶対ちゃうやろ!絶対他のことを含んでたやろ!」

「え〜?他のことってなにかな〜?」

「そ、それはその・・・」


にやにやとなのはちゃんの笑顔が私ににじり寄ってくる。

私はあたふたと色々と考えるが、出てくるのは、その・・・ちょっと、うん。


「・・・もう!なのはちゃんの意地悪・・・」


ぷい、となのはちゃんから顔をそらす。

これはもう、私の敗北宣言と等しい。


「あはは。ごめんごめん。はやてちゃんをからかってると面白くてさ〜」


ぎゅーっと、なのはちゃんが私を抱きしめて、よしよしと撫でる。

なのはちゃんに抱きしめられると何故か落ち着いてしまう。

これが母性といわれるものなのだろうか?


「んふふ〜最近、はやてちゃんと会ってないから寂しかったんだよ〜。はやてちゃん可愛いなぁ〜」

「・・・だったら、もう少し優しくしてもええんちゃう?」

「これが私のや・さ・し・さ」

「そんな優しさいらんわ・・・」


はぁ、と私はなのはちゃんに抱きしめられたまま溜息を吐いた。


「・・・ねぇ、なのは、はやて」

「「うん?」」


私となのはちゃんが同時に、フェイトちゃんの方を向く。


「はやての言ってた、他の事ってなに?」

「「・・・ああ、うん」」


フェイトちゃんは本当に純粋無垢なままに成長したんやなぁ・・・

なんか、私が嫌になってくるわ・・・

なのはちゃんもどうやら同じようなことを思ったらしい。


「フェイトちゃんはそのままでいいんよ。そのままで」

「????」


フェイトちゃんがとても不思議そうに、私となのはちゃんを交 互に見たが、私達はそんなフェイトちゃんを慈愛の眼で見つめた。


「それはそうと・・・あとでちゃんと紹介してよねはやてちゃん」

「うん、それはもちろん。・・・でもなんとなくやけど、私が紹介するより先に会っちゃうんやないかなー」


ただの勘だけど。


「それじゃあ名前だけ聞かせてくれないかな?」

「せやな。名前は――」




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