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夢小説
いつまで仲良くしてるの?
[]


君は昔から草食動物たちと群れてたよね。


なのに僕にもよく引っ付いてきて…



初めはただの変な奴としか思ってなかったのに。




…君といると調子狂うよ。








『きょぉーやくーん』



何やらうるさいと思い目を開けたら、すぐ近くに君の顔。



「…何してんの?」


不機嫌そうな顔で名前を見る雲雀。


そう言うと彼女は腰に手を当て、


『何してんのって…恭弥がお昼になったら起こしに来てって言ったんじゃん!』


と少し怒り気味に言う。



…そういえばそんなこと頼んだような気がする。


まぁいいや。


「ご飯は?」


『はい、これ』


雲雀の目の前に布で包んだ1つのお弁当箱を差し出す。


「ん」


それを無言で取って蓋を開ける。


『ちょ、礼ぐらい言って欲しいんだけど…』


そう文句言ってる名前を放っておいて、先に弁当を食べる雲雀。


むむむ、と効果音がつきそうな程、雲雀を睨む。



ちょっと意地悪してやろうと思い、『少しはおいしいとか、いつもありがとうとか言いなさいよね〜。これ毎朝、朝の弱いあたしが作ってるんだよ?』と冗談半分で言ってやった。


「おいしいよ」



『え』


名前を見ながら言う雲雀。


冗談半分で言ったつもりが、まさかのどんでん返し


いきなり言われたからか、美加は目を見開いて驚いている。



「何その顔」



少し不機嫌そうな顔をしている雲雀を見て我に返った名前。


『いや…あの恭弥が素直に礼を言うなんて…ちょっと感動したよお母さん』


「お母さんって…いつから君は僕の母親になったの?」


あはは…と照れながら感動している名前とは裏腹に、クールな顔をしながら冷静沈着の雲雀。



この性格が真逆の2人、実は小学校からの幼なじみなのです。


雲雀のあとをちょこちょことついてったら結構仲良しさんになっちまったぜみたいな感じで。



『大体ね、恭弥はもう少し有り難みをもとうよ、このあたしに!』


「はいはいそうだね」


これを外でやってると異様な目でみんなから注目される。


なぜなら雲雀にこんなことを言って切れられないのは、恐らく世界でただ1人、名前だけだろうから。



『そしてもっとあたしを労ろうよ!名前様いつもありがとうございます、僕は心から感謝してます…!みたいにさ』


「…君さ、言ってて虚しくない?」


『うるさいなぁ…もういい!教室に帰るもん!』


サッと立ち上がり、雲雀を睨んだ後


雲雀と自分の食べた弁当箱を鞄に詰め込み、ドアを勢いよく開けて名前は去っていった。



「ハァ…これでうるさいのがいなくなった」


…だけど少し寂しいのは気のせいかな。


名前がいないと遊び相手がいなくてつまらないよ。



もう一度雲雀が溜息を吐こうとした時


『あ、そういえば忘れてたんだけどさ〜』


さっきのことは忘れたみたいに、呑気な顔して部屋に入ってきた名前。



「…何」


明らかに嫌そうな顔で聞く雲雀に名前は


『あたし好きな人がいるんだけどさ、その人もあたしのこと好きみたいなんだよね』


と真剣な顔で言っていた。



「っ」


何それ。

そんな話…聞いてない。



美加の急な告白に表面上では見せないものの、内心では酷く焦ってる雲雀。


「…何、わざわざ自慢しにきたの?流石暇人だね」


そんな彼を尻目に、淡々と話す名前。


『…恭弥のよく知ってる人だから一応言っとこうかなって』



「誰?」


『今から告白してこようと思うの、その後恭弥には教える』


そんじゃ、また後でね!と嬉しそうに言いながら走り出そうとするから、




『え…恭弥…?』



「……」




咄嗟の反応で名前の腕を掴んでしまった。


『恭弥…どうしたの?』


心配そうな目で見てくる名前。


それでもまだ、『これじゃあ行けないよ』なんて苦笑いしながら言う。



「…行くなよ…」


『え?』


名前は蚊の鳴くような声で言う雲雀に、何か言った?と聞く。



「…他の男のとこなんか…行くなよ」


名前をぎゅっと抱きしめ、肩に頭をのせながらそう言った。



「名前は僕のだろ?...ずっと我慢してきたんだ…易々そこらへんの草食動物達なんかには絶対渡さない」


更に抱きしめる力をキツくする。


『ちょ、ギブ、行かないから!どこにも行かないから…く、苦しい』


その言葉を聞いて安心した雲雀は抱きしめる力を緩める。


それでもまだ、自分のものかのように名前に抱きついて離れない。



『恭弥、あたしのこと好きなの?』


チラッと雲雀を見て、頬を染めながら聞いてくる名前。



「…好きだけど、何?文句ある?」


その逆に堂々とした態度に名前の顔は更に真っ赤。


『っ…なんでそんなハッキリ言うかな…』


顔を赤くしながらブツブツと文句を言う名前に、雲雀は目を細める。


そして美加の腰を自分の方にグッと抱き寄せ、唇にキスをする。



「僕は君のこと、ずっと昔から好きだったよ。美加は?」


既にわかっているだろう答えを、求める雲雀。


腰に抱きついている手とは反対側の手を、名前の頬に添える。



「美加は僕のこと…嫌い?」


その言葉に首をブンブンと横に振る。


『あ、あたしも恭弥のことが好き、だよ!』


顔を真っ赤にして言う名前に愛しさが増す。



「そういえばさっきの告白、誰にしようと思ったの?」


そう言った雲雀の目は殺気に満ちており、恐らく名前の言った相手を殺ろうという勢いだ。


『あ、あれは…えっと…別に誰かに告白しようとしたわけじゃないんだよね』


あはは、と遠慮気味に笑う名前とは裏腹に、雲雀は名前を睨みながら


「…僕を騙したの?」


と怒りが籠った声で言う。


その声に背筋がゾクッとなり、変な冷や汗が流れる。


『ち、違うんだよ!あのね、あたし恭弥に嫌われてると思ってたの…』


焦りながらと言う名前に、雲雀は少し考える。



「嫌われてるって…僕そんな態度、君にとったっけ?」


『あるよ!だって恭弥…あたしにはすっごくどーでもいい態度なんだもん…』



そんなこと……あるかもしれない。


『だからもしこう言って、恭弥が何も言わなかったら恭弥を好きでいること諦めようと思ってたの…でも騙してごめん…そんなつもりじゃなかったの』


少し涙目になりながら、雲雀をチラッと見る。



…あぁ、僕は知らない間に名前を傷つけていたんだね。



「名前…」


名前の頭を優しく撫で、抱きしめながら耳元でそっと呟く。






「だからと言って僕を騙した罪…ただで済むなんて思ってないよね…?」


と怪しく笑う雲雀。



あれ!?ここ普通「僕こそごめんね」って謝るとかそういうフラグじゃない!?


どうしようヤバい、恐ろしく恭弥が怖い!


『ご、ごごごごごごめん!!悪気があったわけじゃな…』


――――チュッ


応接室に、小さなリップ音が響く。



『え…恭弥、あn「僕を騙した罪は…身体で払ってもらうよ?」…え、うそうそ冗談だよね?…ちょ、まっ、』




その後の授業は腰が痛くて出れなかったそうな…






『いったぁ〜…ったく恭弥め…初めてなんだから少しは手加減しなさいよね』

腰を押さえながら、教室に置き忘れた教科書やノートを持ち帰ろうと壁に寄り添いながら歩く名前。



「あ、いたいた美加!」


名前を呼ばれ、クルッと振り返るとそこにはクラスメイトで親友の沢田綱吉がいた。


『あ、ツナ…どうしたの?』


「どうしたのじゃないよ…お昼からの授業どうしてたんだよ、みんな心配してたんだからな?」


と、少し怒り気味に喋る綱吉に、名前は苦笑いをし、言い訳を考える。


『えーっと…気分が悪かったから保健室に行ってたんだ。心配かけてごめんね?』


綱吉は驚き、「保健室!?い、今は大丈夫なの!?」と焦っていた。


『うん、今はすっかり元気だよ!』


「良かった…あ、そうそうこれ!名前の教科書とノート」


はい、と名前の目の前に差し出す。


『おぉ!流石ツナ!今から取りに行こうとしてたんだよ〜持つべきものはやはり友だね〜』


綱吉の腕にスリスリと頬を寄せる。


「ちょ、名前!誰か来たら勘違いするだろ!?」


少し頬を染めながら言う綱吉が可愛くて、名前は


『いいではないか、いいではないか〜』


と少し変態殿様みたいな感じで2人でキャイキャイ遊んでいた。




それを屋上の上から丁度見ていた人影。


雲雀恭弥だ。



「…また草食動物と絡んでる」


誰にでも優しくする、そこが名前のいいところだけどさ…



でもあれはやりすぎ。


ハァ…と溜息を吐き、立ち上がる。



そして屋上を去り、向かう場所はもちろん…








いつまで仲良くしてるの?



(いい加減、僕の名前から離れないと…咬み殺すよ)
(ひ、ひばりさんっ!!!)
(こら恭弥!ツナを怖がらせちゃダメでしょ?ったく…ごめんねツナ?)
(い、いいよいいよ!それじゃあ…ま、また明日)
(…どうして沢田綱吉を庇うのさ、名前には僕がいれば十分だろう?)
(恭弥のことは大好きだけど、友達も大切なの!)
(…僕と草食動物だったらどっちが上?)
(恭弥に決まってるでしょ?)
(なら許す)



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