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冒険の書
目の前にはフェンリル
ん…待てよ?

「フェンリルと言えば北欧神話最強の魔獣の一角じゃねえか!」

驚いたようにそう言えばフン!と得意げに笑うフェンリル。

『やっと我のすごさがわかったであるか…どうである!怖いであるか?』

「いや、全然?」

だって多分俺の方が強いし。

『な、何であると!?今の我にはグレイプニルがついてないであるぞ!!』

ムキ―と怒るフェンリル。

どう見ても強そうに見えない。

まぁ見た目で反応はしちゃいけないって言葉があるからな。

だが…

「それはまずい…のか?」

俺がそう言えばポカーンとするフェンリル。

『ならば我と勝負である!主が負ければ我の下僕になるのであるぞ!!』

器用に指を一本ビシッと俺に向けて指すフェンリル。

「では、初め!」

俺がそう言うとフェンリルは指を指していた前足を俺に向かって落としてきた。

俺はそれを避けると神の知識で時魔法を探す。

これか!!

「Time stops.
Your time stops.
I move.
I don't stop.
Magic at time.
(時間は止まります。
あなたの時間は止まります。
私は動きます。
私は、立ち止まりません。
時間の魔法。)
[When eternal]」

本当は神の知識があるから詠唱を省いても出来るんだが、初めてなので詠唱も付けてみた。

そう唱えるとフェンリルはピタリと動かなくなった。

この魔法は詠唱でもわかる通り、対象者の時間を止める魔法だ。

「上手くいったな…」

俺はニヤリと笑い、次は創造魔法を探した。

「ん?何だこれ…」

あったにはあったが少し変な詠唱だった。

「Something I desire
It is a chain (Gleipnir)
Show it here.
Magic of creation
(私が望んでいる何か
それは鎖(グレイプニル)である。
ここにそれを現しなさい。
創造の魔法)
[Create]」

作る物に合わせて詠唱が少し変わるのはまだわかる。

でもなーんか変なんだよな…

英文が変なのか?

まぁ取り敢えずは良いか…

「ちゃんとグレイプニルも出てきたし」

うん、と頷く俺の手には鎖でできた首輪あった。

「よっこらせっと…」

ヒョイっとフェンリルの背中に乗り、首にグレイプニルを付ける。

「よーし、これでOK…[When eternal 解除]」

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