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04 最初っからわかってた。キミがボクじゃない誰かを好きなことぐらい、








最近はベッドの上で寝るようになった。銀時と一緒に。ベッドで寝るのはホントは好きじゃないんだけどな。柔らかくて寝心地がいいのは好きだけど、上から被さってくるふわふわが暑くて重くて嫌いだ。銀時が引っ付いてくるから余計暑っ苦しいし。俺には毛があるから上から被るふわふわはいらない。だけど銀時はこのふわふわがなかったら寒いらしいから、ガマンしてふわふわを被る。慣れればこれもそれなりにいいもんだ。

日が射し込んで眩しくて目が覚める。銀時が昨夜カーテンをちゃんと閉めなかったせいでちょうど顔に日が当たる。面倒くさがりな性格の銀時。ズボラとも言える。だけど俺の飯や毛繕いやその他もろもろのことはやってくれるからまぁいいだろう。

ムクリと起き上がり自分の下にしかれた銀時の腕を見る。今日は俺を抱き締めて寝なかったのか。反対の手は銀時の胸元にある。少しガッカリ。いやなんでガッカリするんだ。あれは苦しくてたまに尻尾を潰されるから嫌いなはず。そうか朝起きたときに銀時の匂いが近くになかったからガッカリきたんだ。きっとそうだ。

銀時からは甘い匂いがする。俺はその匂いが好きでよく銀時の胸に顔を埋めて眠る。



ミツバも甘い匂いがした。






今日は大学が休みと言っていたからまだ起こさなくてもいいだろう。ベッドから下りようと立ち上がると身体がぐんと後ろに引かれた。ゾワリと全身の毛が逆立つ。銀時が俺の尻尾を引っ張ったのだ。ばか!尻尾は触るんじゃねぇ!
ぐるりと銀時を振り返ると、俺の尻尾を掴んだ銀時が俺を見ながら薄く口を開く。

「…いかないで……」

寝ぼけているのかどこを見てるのかわからない瞳で、でも銀時の瞳の中には俺がいた。スルリと銀時の手から尻尾が解放されて銀時の腕がパタリとベッドに落ちる。それからスースーと寝息が聞こえた。

銀時、今のは俺に言ったのか?それともとーしろーに向かって言ったのか?銀時はよく寝言で『トシ』と『とーしろー』と呟く。トシって呼んでるけど、たぶん俺じゃない。

ちくりと胸が痛くなった。

ホントはもう目が覚めて眠くないけど、ふわふわの中に潜り込んでグルリと身体を180゜回転。頭を鼻先から銀時の腕の下に滑りこませ、銀時の反対の腕は下に敷いて、顔を胸に埋めた。柔らかくもない。どっちかって言えば固い胸だけど、ミツバのほうが全然柔らかくて気持ちいいけど、俺は銀時の胸に顔を埋めて瞳を閉じた。

無意識に銀時は俺を抱き締めて少し苦しかったけど、ホントはこうして抱き締められるの嫌いじゃないからガマンしてやる。


俺を抱き締めながら銀時は『とーしろー』と呟いた。




「…クゥン」




ちくりと、また胸が痛んだ。








2009.01.27

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あきゅろす。
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