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ボクはキミだけを傷つけない *
┗ゆっち様/相互[別れ→仲直り]










酒場で会ってもすぐお勘定して宿へ直行。
うちに来たら来たで布団へ直行。

会えば必ず身体を求められる。

最初のうちはまぁ付き合い始めだし求められるのも悪くはなかったけど、それが続くと流石に嫌になる。
俺と土方でまったりお話しましょ、とかデートしましょ、とかはありえないけどだからと言ってすぐにベッドインもありえないだろ。

そう今だって、










「んっ、ちょっ、はなせ」
「んだよ、」

うちに来てすぐここが玄関だというのにキスをかましてくる土方の肩を押しやるとあからさまに不機嫌な顔をされた。


「溜まってんだよ。ヤラせろ」


無理矢理壁に追いやられキスをされる。
首の後ろを支えて逃げることが出来ないよう固定して、ただひたすら深いキスを。


「ゃ、…ぁ、」


ジーとインナーのファスナーが下ろされるのを感じ土方の胸を叩いた。
でもその手は土方の手に両手ごとまとめられて頭の上に固定された。


「んッ」


土方の足が俺の足の間に差し込まれ太股で股を擦られる。
ちょうど袋のところ。
膝でぐりぐりとアナを押し上げられると土方によって変えられてしまった身体は刺激を求めて自ら腰を揺らしてしまう。


「あッ、ひ、いゃ、」


もう自分で身体を支えることが出来なくてカクンと膝の力が抜ければ、俺は土方の足に跨がって座る形になった。
土方は膝を壁につけて固定すると束縛していた俺の手を離す。
自由になった腕で土方の肩に縋り付いた。
俺の足はギリギリ地面につくかつかないかの高さにあり、片足を立てた土方の足に座っているという奇妙な体勢だ。


「木馬に座ってるみてぇだろ?」


笑って土方は足を揺する。


「やめっ、あっ、」


木馬なんて座ったことないから知るはずないじゃないか。
ついとズボンの上から勃ち上がっている性器を指の腹で撫でられて身体が震えた。


「自分で動いてイッてみろよ」
「やっ」
「ホラ」
「あっ」


腰を掴まれ前後に動かされると土方の足にアソコが擦れて気持ちいい。
土方の手が止まっているのに気付かず俺は自分で動いて土方の足にひたすらアソコを擦りつけた。


「あっ、あっ、ゃだ、やぁっ」
「なにが嫌なんだよ。もうズボンぐしょぐしょだぜ?」
「イけ、な…、まえ、さわって」
「触って下さいだろ」
「さわっ…て、くだ、さ」
「くく、淫乱」


それからそこで一回イカされてベッドに連れて行かれた。
















「なんなんだよ」


気怠い身体を起こして着物を手繰り寄せる。
案の定、朝起きたら土方はいなかった。
ひとりぼっちの布団。
裸で放置されたように寝かせられて、後始末さえもされていない。
ずきずきて関節が痛む。
よろよろしながら風呂場へ向かい身体を洗い流した。
廊下に点々と尻から零れた白濁を残して。


あいつにとって俺はただの性処理の道具なんじゃないだろうか。
最近そう思うようになった。
毎回こんなことを繰り返し行われたら嫌でもそう思わざるえない。
俺の身体のことは一切労らず、自分の性欲のはけ口にして……。


「もう…、限界だな……」


呟いた言葉に虚しくなった。
土方のことは好きだ。
好き、でも、……限界がある。
たまに本当に自分は土方のことが好きなのだろうかと疑うときもある。
それくらい限界を感じていた。

ジリジリと胸を焦がす想いに妬かれて肺がキリキリと悲鳴を上げる。


「……っ、うぇっ」


ゴプリと胃から込み上げて気持ち悪さに全てを吐いた。
胃液で喉かやられるまで全部。胸を締め付けるこの想いも全部吐き出してしまいたかった。
ぐるぐると渦を巻いて排水溝へ流れていくのをただ見ていた。






あれから一週間、土方からの連絡はない。
俺は土方と別れようと思う。
次会ったときにそれを告げようと思ったらあいつからの連絡がくるのが怖かった。
キリキリと締め上げられる。
体調を崩して一日中ぐったりしている俺を子供たちは心配している。
大好きな甘味だって喉を通らない。

ただあいつからの連絡を待つばかり。
自分から連絡してもどうせ多忙な土方には繋がらない。
それに自分から別れるまでの時間を早めるなんて出来ない。


「はぁ……」


朝がきて夜がくる。
その繰り返し。



気がつけば外は真っ暗で、新八も神楽もいなかった。
ソファーで寝ていて気付かなかったけどいつの間にか出て行ったらしい。
テーブルの上にはラップをかけられたご飯が書き置きと一緒にあった。

『ちゃんと食べて下さいね』

無理、ゴメン。
何も食べたくない。
ソファーに俯せて眠る。
布団に行くのも面倒だ。

不意に遠くから足音が聞こえた。
カン、カン、カン、と階段を上る音。
どくん、と心臓は高鳴る。


ガラガラと玄関が開いた。

鍵、閉めてなかった。
いやだ、閉めておけばよかった。
いやだいやだ。
耳を両手でふさぐ。

足音は廊下を歩いてる。
あぁ、今寝室の襖を開けた。
でも俺はそこにはいない。
足音は襖を閉めずにまた歩きだす。
どんどん近付いて来る。

耳をふさいでいるのに、指の隙間から音を探している自分がいる。

来る、

いやだ、

来ないでっ、







「――銀時?」









ビクンッ、と身体が跳ねた。

耳も口も瞳も全部閉じる。
ソファーの上で丸くなる。


「んなとこにいやがったのか」


ギシ、と床が軋んでソファーが揺れた。
土方がソファーに腰を下ろしたんだ。


「起きてんだろ?」


耳元で囁かれて産毛立つ。
耳、ふさいでるのに土方の吐息がふさいでる手にかかりそれに身体が反応してしまう。
土方の舌が俺の指を舐め、指先を咥えた。


「やッ」


耳から手を離して土方の舌から逃げようとしたら押さえ付けられて、手が離れた耳を舌でなぞる。
生温かいぬめった舌が耳殻をなぞり吐息を馴染ませる。
カタカタと身体が震えた。

いやだ、いやだ、

そんなことしないでっ、


「なぁ、銀時………」


大好きな土方の声、
その声で残酷な言葉を紡ぐ。











「――――――ヤろうぜ」













震えが止まり身体が固まった。
土方は俺の服を脱がせていく。

あぁ、なんでお前は……。










「…ッ、…ッ、」


後ろから責め立てられて俺は腕で顔を覆ってただ揺さ振られるままになっていた。

痛い、

痛いよ、

胸が、

痛い、

近くにいるのに土方の声が遠くから聞こえるような気がする。
もっと鳴けよ、とか、ココがいいんだろ?、とか言って笑っている。

気持ちいい、でもそれよりも心が冷えて痛い。


「おいおい、どうしたんだよ」


身体をひっくり返される。
腕が力なく顔の横に転がった。
土方が息を飲む。


「お前……、」


胸が不規則に跳ねて、口から漏れそうになる嗚咽を噛み締める。


「泣いてんのか?」


すぅと土方の手が俺の頬を撫でる。
それが嫌で、横を向いた。


「銀時?」

「……っ、も、やめにっ、しよう」


熱い涙がボロボロ溢れて止まらない。







「別れ、よう」








ぐちゅり、と引き抜かれた。
土方が離れていく。
あぁ、終わったんだ。

なにもかも。



瞳を閉じて身体から力を抜けば強い力で抱きしめられた。

背中に腕を回され、俺の肩に顔を埋めて、身体がまた震え始める。



「んでだよ、別れるなんて言うなよ」



まるで駄々をこねる子供のように土方は首を緩く振る。


「だって、お前、からだが目当てなんだろ?」


カタカタ震えながら土方に不安を全てぶつけた。
会ってすぐ抱かれたり、後始末もせず俺が起きたらいつもいなかったり、それじゃあ身体が目当てって思われてもしょうがないだろ。

ギシリとソファーが揺れて土方が顔を上げる。
俺の顔の隣に両手をついて、その酷く綺麗な顔を歪ませる。


「惚れてるヤツには触れてぇし、触れたら抱きてぇと思う、そしたら鳴かせてやりてぇって思うのは普通だろ」

「ぇ……」

「テメェに惚れてんだよ。今まで雑に扱ってきたことは詫びる。俺ぁ、てっきり大事に扱われるのはテメェが嫌がると思ってたからな」

「大事って、」

「時間があれば会いに行くし、電話もする。抱いた後はテメェの目が覚めるまで傍にいてやる」

「んなの、うぜぇだけだ」

「それでテメェは不安がってんだろうが」

「っッ」


ニヤニヤと笑いを浮かべて土方は俺の首筋に唇を落とす。


「大事にされたいだなんて、可愛いとこあるじゃねぇか」

「ちがっ」

「くくっ、俺ぁテメェに会えばココがおっ勃ってテメェに挿れたくてしょうがねぇんだよ。テメェがエロいのが悪い。だからこれだけは譲歩してくれよ?」


普段の土方からは考えられない卑猥な言葉を紡ぐ。
セックスがしたいときはいつもこうやって俺を煽る。
なんだよこいつ、万年発情期かよ。


言葉を失って、土方と目が合った瞬間顔に熱が集中してくる。
あつい。
震えが今は違う意味で止まらない。

もう痛くはない。

でも痛い。

なんだろうこれは?


「ひじかた」

「ん?」

「ここが、痛い」


ぎゅっと土方の胸の前の服を掴んだ。
わからない。
冷たくて痛かったのが熱くて痛い。
心臓が壊れてしまいそうな勢いで早鐘を打つ。
あまりの痛さに涙が溢れた。


「そりゃあきっと、テメェが俺に惚れてるから痛ぇんだよ」

「わかん、ない」

「いいから、俺に任せとけって。今日はずっと傍にいてやっから」

「…ん」













言った通り、目が覚めら土方が傍にいた。
後始末はされてなかったけど、土方が言うには後始末をしなくちゃいけない事自体知らなかったらしい。
男とのセックスは俺が初めてらしいから。

後始末をしようとしたら喜嬉として土方にナカのものを掻き出された。
自分でするって言っても聞く耳もたずでぐちゃぐちゃとナカを指で擦られて俺は必死で土方にしがみついていた。

それがまた嬉しいらしく今度から後始末は俺がやるって土方は言ってたけど、そんなのゴメンだ。
触られたらまた熱が振り返して……。



大事にされるのも考えものだ。


―――でも、悪くない。





熱くて痛いこの胸の疼きは一生、治ることはなさそうだ。







2009.03.02



あきゅろす。
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