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香水(金×パー)








わたしだって同じようなお仕事してるからそれは仕方ないってちゃんとわかってる。
でもいやだったの。
わたしは金兄がだいすき。
もちろんぱち兄もトキ兄もだいすき。

お兄ちゃんみんな大好き。

だからね、金兄からしたキツイ香水の匂いに堪えられなくってわたし思わず顔をしかめたの。
金兄はホストだがら香水はつける。
でもこんなキツイ匂いじゃない。
さっぱりしてて、ちょっと男くさくてエロい感じの匂い。
わたしが大好きな金兄の匂い。

金兄はわたしと違って女の人を相手にするお仕事だからその女の人の匂いが移ったのかもしれない。
わたしの大好きな金兄の匂いが消されるくらいずっと一緒にいたの?
いやだ、金兄はわたしのモノよ。

それなのに金兄ったらシャワーも浴びずにそのキツイ匂いをぷんぷんさせていつもわたしと一緒に寝ているベッドで寝ていたの。
疲れてるってわかってるけどなんでそのまま寝るの?
やだやだ、
そんな匂いをさせたままの金兄と一緒に寝たくない。

寝ないの?とうつらうつらしながら聞いてくる金兄にカッとなってわたしは部屋から飛び出した。
大好きな金兄。
いつもわたしを抱きしめて眠ってくれる。
金兄の匂いは甘い。
ちょっと男くさくてエロい感じ。
一緒にいるだけで頭の芯が蕩けてきちゃう。

もうあのベッドは使わない。
キツイ匂いが染み付いて、そんなベッドで眠りたくない。

リビングのソファーの上で膝を抱え込んだ。



兄弟の中でわたしだけ女の子みたいに育てられた。
お母さんは女の子が欲しかったから。
小さい頃からスカートとかはいて、髪も長くして、だからよく近所の子供達にいじめられた。
男のくせにってスカートを脱がされそうになったり、そんな時いつも金兄が助けてくれた。

今でもわたしは髪を伸ばして、オカマバーなんてところで働いて、昔と全然変わってない。

ちっちゃい頃はわたしが金兄の彼女で、金兄がわたしの彼氏。
金兄の隣はわたし。
今は違うの?
金兄の隣にはもう別の女の人がいるの?


クシュン、とくしゃみをしたらソファーに膝を抱えて座っているわたしを背中からそっと抱きしめる腕が伸びてきた。
ソファーの後ろから抱きしめられる。

あ、金兄の甘い匂い。
ちょっと男くさくてエロい感じ。

振り向くと髪を濡らした金兄がいて、


「シャワー浴びてきた」


と優しく微笑んだ。


「きんにぃ…」


長くてくるくるのわたしの髪をかきあげながらそっとおでこにキスをされた。


「今日はパー子の部屋で寝ようか?」


いつもは金兄の部屋で寝るけど、あのベッドはキツイ香水の匂いが移っているから嫌。
金兄、気付いてたの?


「パー子は甘い匂いがするね」

「そう?」

「たまに男モノの香水の匂いがするとすごく嫉妬した」

「え?」

「パー子女モノの香水しかつけないでしょ?」

「うん」

「匂いが移るまでその男と一緒にいたのかと思ったらムカムカした」


なんだ、金兄もわたしと同じだったんだ。
だからわかったんだね。


「金兄、」

「ん?」

「よそに男はつくっても、女はわたしだけにしてね?」

「お前…、」


くすくすと金兄は笑ってわたしを横抱きに抱えた上げた。


「それ兄貴に言う台詞じゃねぇよな」


うん、でもわたし金兄に彼氏がいること知ってるし。
だから、よそで抱かれてもいいけど、抱くのはわたしだけにしてね?



だいすき、お兄ちゃん。







2009.03.14



確信犯な金ちゃん。

パー子ちゃんは女モノのランジェリーとか普通にはいてると思う。
ブラはしてないと思うけど(笑)

そして金兄は嫉妬深い。




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