従兄弟の坂田白王 白夜が坂田家に帰ってきた次の日の朝のお話です。 坂田家の朝は今日も今日とて騒がしい。 銀八がテーブルに料理を並べているなか、優雅に椅子に座り新聞を広げている白夜に銀八の手伝いをしているパー子、落ち着かない様子で座っている金時、昨夜は疲れてまだぐっすりとベッドで眠っている銀時。 寝坊をした銀が眠たそうにダイニングへやってくるとおはようとみんなで挨拶。 白夜は新聞を畳み両手を銀に差し出した。 「おはよう、ねぼすけさん」 「しろやお兄ちゃんおはようございます」 抱っこされ向かい合って白夜の膝に座った銀の額に白夜はキスをした。 するとそこに、 ――――ガタンッ!!! 突然の来客。 とうしろう に連れられてやってきた人物は手に持っていた紙袋を床に落としわなわなと震え白夜を指差した。 「貴様、幼い子供になにをしている」 白いスーツに身を包んだその人物は坂田家の兄弟同様 白い天パの髪に紅い瞳をしていた。 「おはようのキスだけど?なぁ、銀?」 「うん」 ズカズカとまるで我が家のようにその人物はダイニングへと足を踏み入れ白夜から銀を奪い取るように抱き上げた。 「貴様のような汚れたヤツが銀に触るなど許さん」 「酷いなー、俺とお前は幼なじみだろ?」 「汚らわしい貴様と一緒にするな」 ふたりの会話を面白そうに眺めているパー子、無言でもう一人分の朝食を追加で作り始める銀八、キョトンとしている銀ととうしろう。 そんななか金時が口を開いた。 「白王兄貴、フランスにいたんじゃねぇの?」 「こいつがアメリカから日本に帰ると聞いて自家用機で今朝帰って来た」 「白ちゃんは俺のこと大好きだからね」 「誰が貴様など好きなものか!」 白王と呼ばれた人物。 白い天パの髪に紅い瞳、そして凜とした顔立ち。 坂田の従兄弟で白夜と同年齢。 世界をまたにかける大企業の社長で数多くの偉業を成し遂げたと各国からの信頼も厚いという、 坂田 白王(はくおう)。 「白王さん、朝食食べて行きますでしょ?とりあえず座ってください、今コーヒーを入れます。あ、水がいいですか?」 「水で頼む。銀八、貴様がいながらどういうことだ。銀をこいつに近付けるとは」 「そう言われましても白夜兄さんを止められる人物なんて世界中で白王さんだけですよ」 ニコニコとたのしげに微笑んでいる白夜を睨みながら一番離れた椅子に座り白王は銀を自分の隣に座らせた。 「白王兄って昔っから銀くんに甘いわよねー」 「銀が親父たちと暮らしてる間も何回か銀に会いに行ってんだろ?」 「そうそう、あ、とうしろうくんそこの紙袋 ぱち兄に渡して。白王兄からのお土産だと思うから」 大きな紙袋を重たそうに抱えて銀八に渡したとうしろうは銀の隣に座ろうとして白王に自分の隣に座るよう言われた。 銀とは白王を挟んで座る場所に。 「白ちゃんってば左右にお子様をはべらしてどうするつもり?」 「貴様から守る為だ」 クスクスと笑う白夜。 銀は小さな手を白王の膝に乗せ白王を見上げた。 「白王お兄ちゃん、白夜お兄ちゃんと喧嘩しちゃダメだよ?」 きゅるんとしたかわいらしい銀に白王は胸をじーんと和ませる。 「銀!お前はあいつみたいになるなよ!」 ガバッと銀を抱きしめる白王にとうしろうはどうしたらいいのかわからずおろおろとパー子を見た。 パー子はとうしろうにウインクをしてニッコリと笑うだけだった。 「そうだ、白王お兄ちゃんにもしてあげるね」 なにを? と白王が疑問に思う前に銀の顔が白王に近付き唇に柔らかいものが触れ ちゅっというかわいらしい音がした。 「えへへ、おはようのちゅーだよ」 最初固まっていた白王だったが、固まったまま ぽぽぽと顔を赤らめて、 「白夜お兄ちゃん、白王お兄ちゃん真っ赤になっちゃったよ」 「白ちゃんには銀からのキスは強烈だったんじゃないのかな?」 耳まで赤くした白王を白夜はニヤニヤしながら眺めていた。 2010.05.26 白王は白血球王銀ちゃんです。 白血球王を縮めて『白王』にしてみました。 やっぱり白血球王に似て潔癖です。 なので銀くんやとうしろうくんといった純粋なお子様相手には優しくて甘いですが白夜には厳しいです。 子供好きは認めてるけどショタではないと言い張る白王お兄ちゃんでした(*^o^*) 〜おまけ〜 「今回 銀八兄貴大人しくね?」 「当たり前だろ、白夜兄さんがいて白王さんが来てるんだ」 「やっぱり銀八兄貴でも遠慮とかするんだな」 「ばーか、白王さんがいるなら白王さんに白夜兄さんの獲物になってもらえるだろ。大人しくしてれば自分の身の安全が守られるんだ」 「銀八兄貴って、」 「なんだよ」 「いや、なんでもない」 [*前へ][次へ#] |